現在のF1世界選手権は、新規参戦のための敷居が極めて高い。ドライバーであれば、持ち込める資金(スポンサー)やスーパーライセンス取得に加えて、F1チームとの契約が必要。チームであれば、巨額を要する工場の建設や機材の購入、人材確保のための資金、さらにはF1の商業権を司るFOM(フォーミュラワン・マネジメント)の認可が必要である。

 ドイツのアウディがザウバーを買収して合法的かつ速やかにF1参戦を実現した一方、アメリカのモータースポーツ企業アンドレッティ・グローバルが、挑戦的なやり方で茨の道を歩んだのは読者の皆さんもご存じのとおり。後者はGM/キャディラックの支援を受け、ようやく新規参戦を実現した。ちなみにF1チームの新規参戦は、同じアメリカを国籍とする2016年のハースF1以来となる。

 もっとも、牧歌的な時代のF1は新規参戦に対してかなり緩やかだった。新規参戦チームはF1の技術規則に準じた車両を独自に用意するもしくはワークスチームから年式落ち車両を手に入れ、現在よりもはるかに曖昧だったスーパーライセンス取得基準をクリアしたドライバーを起用するだけで、フェラーリやマクラーレン、ウイリアムズやロータスといったチームに挑む権利を手にできた。だからこそ、1980年代はF1よりも下のヨーロッパF2/国際F3000に参戦していたチームがこぞって新規参戦した。

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