予選後、予定されていた会見に現れた可夢偉の表情は、やや不満気味だった。19位に終わった前戦バーレーンGPの予選後は、「今シーズン、初めて金曜日のフリー走行でトラブルなく走行し、ある程度希望するセットアップがなされたマシンでタイムアタックができた」と語っていたのとは対照的だった。
今回の予選ではバーレーンGPを上回る18位だったが、それはパストール・マルドナド(ロータス)がパワーユニットトラブルによって走行できなかったためで、実質的にはバーレーンGPと同様のポジション。そして、その理由はマシンの空力が全くと言っていいほど進化していないからである。
F1では「停滞は後退を意味する」という言葉がある。どのチームもマシンを日々開発し、アップデートするため、開発が遅れると取り残されてしまうからだ。その開発競争において、今のケータハムは取り残されている。
中国GPの予選は雨。ウエットコンディションはダウンフォースの差がパフォーマンスとなって表れやすい。コーナーの出口で、リヤタイヤをスライドさせながら立ち上がっていく可夢偉。それはターボのトルクマネージメントがうまく行えていないわけでも、装着したタイヤが合っていなかったわけでもなく、「単純にダウンフォースが足りないから」(可夢偉)だった。
ケータハムのマシンがダウンフォース不足だということは、予選中のセクタータイムに表れている。上海インターナショナル・サーキットのセクター2は、ストレートがなく中速コーナーが連続するため、ダウンフォースがないと速く走ることはできない。そのセクター2でもっとも遅かったのはケータハムのマーカス・エリクソンだった。可夢偉は最後のアタックで自己ベストを更新し、マルシャの1台は食ったものの、それでも21台中19位の区間タイムだった。ダウンフォースにおいては、ケータハムのマシンはマルシャよりも劣っているのが現状である。
確かにバーレーンGPから引き続いて、中国GPでも可夢偉はトラブルなく走行を続けている。しかし、それで満足しているようでは、ポイント争いなどとてもできるわけはない。
開幕3戦を終え、新しい課題が見えてきた第4戦中国GPの予選だった。