6月16日〜17日に決勝レースが行われるル・マン24時間耐久レース。今季はトヨタから参戦する中嶋一貴をはじめ多くの日本人ドライバーが参戦するが、そんな中、LMP2クラスのガルフレーシング・ミドルイーストから、ひさびさの日本人女性ドライバーとして井原慶子が参戦する。
井原はもともと、スキーのモーグルの選手だったが、合宿や遠征の費用を稼ぐためモデル業も兼務。1998年にはレースクイーンも務めたが、サーキットでモータースポーツの世界に接して以来、レーシングドライバーを志すことに。最初に普通免許を取り、夢への挑戦をスタートさせた。
その後2001年にはフランスF3に参戦、フォーミュラBMWやイギリスF3などさまざまなフォーミュラレースでキャリアを積んだ。途中資金難などからレース活動を中断する時期もあったものの、2009年にはフォーミュラ・ル・マンもドライブ。スポーツカー耐久レースに転じていた。
今季、井原は本格的にレースに復帰し、1月のドバイ24時間に参戦。今季からスタートしたWEC世界耐久選手権にもガルフレーシング・ミドルイーストに加入し、ローラB12/80クーペ・ニッサンをドライブすることになった。
すでに開幕戦セブリング12時間、スパ6時間をこなし、日本人初、そして女性初のWEC入賞を果たした井原は、待望のル・マン24時間レースを迎えることになる。今回のチームメイトは、過去にラルースなどからF1に参戦した経験をもつジャン-ドゥニ・デルトラス、そしてイギリス人のスティーブ・クイックとなる。
「99年に身ひとつで見知らぬ外国に渡りレースを始めて以来、常に世界への挑戦を夢見てイギリスやフランス、アジアの各国でレースを続けてきました」とこれまでの活動を振り返る井原。
「資金の問題などでレース活動をお休みせざるをえなかった時期もありましたが、スポンサーを始め多くの関係者のみなさまのおかげでル・マン24時間という大きな舞台に立つことができました」
「今回のレースでは、日本人女性としてこの大舞台を思いっきり走ることで、これまでお世話になったみなさんに恩返しをするとともに、『思いついた夢は必ずかなう』という私の心情を、日本の若い世代にメッセージとして伝えたいと思います」
ル・マンで井原は、東日本大震災復興支援・次世代応援プログラム“TOMODACHI”のPRとチャリティも行うという。