フェラーリのフェルナンド・アロンソは、ムーバブル・リヤウイングが今年導入されても、トップ勢同士のオーバーテイクは簡単にはならないだろうと述べた。
シーズン前テストで各F1チームは新たなウイングをテストしているが、実際の効果についてシーズン開幕前に予想するのは難しい。
ドライバーはコースの決められたポジションで前のマシンとの差が1秒以内だった場合に限り、メインストレートの最後の600メートルでムーバブル・リヤウイングを使用することができる。このオーバーテイクゾーンの距離については、FIAが検討の上、変更する可能性もある。
しかしアロンソは、オーバーテイクゾーンの距離にかかわらず、ムーバブル・リヤウイングが有効なのは、速度差が非常に大きい場合のみであり、トップ勢のバトルが活性化することはないだろうと予想している。
「前のマシンが自分よりコンマ1秒だけ遅かったとする。そうするとムーバーブルウイングは十分に機能しない」とアロンソはGazzetta dello Sportに対してコメントしている。
「1秒か2秒遅いマシンをオーバーテイクする場合には有効だと思う」
「大幅に遅いマシンでもオーバーテイクできないためにレースが損なわれる場合がある。規則の目的は、それを避けるために、そういった場合のオーバーテイクをしやすくすることなのかもしれない。アブダビでの僕と(ビタリー・)ペトロフのようなケースでね。2011年もトップ勢同士のオーバーテイクは難しいだろう」
昨年最終戦アブダビで、アロンソはペトロフを抜くことができず、タイトルを失った。
ウイリアムズのテクニカルディレクター、サム・マイケルは、600メートルのゾーンに制限されるのは、ドライバーにとって厳しいだろうと予想している。
「(600メートルの距離は)あまり効果的でないと思う。もっとずっと長くすべきだ」
「効果を上げるためには、ストレートすべてを使わせる必要がある。だがそれも目的による。今全く不可能なオーバーテイクを、完全に可能にするというよりは、ほぼ可能にすることを狙っているのであればいいだろう。簡単にオーバーテイクできるような状況になることはないと思う。そこまで強力な効果はない」