毎グランプリ、英AUTOSPORTが全22人のドライバーを10点満点で評価しています。F1サマーブレークの今、この評価を元にして前半戦のドライバー評価をまとめてみました。前回は22位から12位までを紹介しましたが、今回はトップ10を発表します。
英AUTOSPORTは各ドライバーのレースウイークエンド通してのパフォーマンスをチェック、毎戦後にドライバーごとに点数を発表しています。この点数を合計して平均点を出し、それに基づいて前半戦評価によるドライバーランキングを作成しました。
今回は「前半戦ドライバー評価まとめ企画第三弾」として、22人中のトップ10を発表いたします。
※第一弾はこちら→「認められた可夢偉の実力:英誌評価 前半戦まとめ」
※第二弾はこちら→「ドライバー評価Ranking(1)22位からカウントダウン!英誌評 前半戦まとめ」
それではトップ10を下位からカウントダウンしていきます。なお、参考までに2014年11戦終了時のドライバー選手権の順位も添えてあります。
●10位 ジュール・ビアンキ(マルシャ)
F1ランキング 16位
英AUTOSPORT平均評価点 7.1点
ビアンキとケビン・マグヌッセンは同点で10位となりました。
ビアンキは満点10点を1回獲得(モナコ)、9点も1回与えられています(イギリス)。最低点は5点(バーレーン)でした。
モナコでビアンキは、21番グリッドからスタートし、8位でフィニッシュ、5秒加算ペナルティによって9位に降格されたものの、2ポイントを獲得しました。彼自身にとってもチームにとっても初入賞となり、マルシャはこの時の2ポイントによって現在ランキング9位に位置しています。
イギリスでは不安定な天候の予選で見事12番グリッドを獲得、14位でフィニッシュしました。
一方、バーレーンでは決勝中にスーティルと接触、ペナルティを与えられています。
●10位 ケビン・マグヌッセン(マクラーレン)
F1ランキング 10位
英AUTOSPORT平均評価点 7.1点
マグヌッセンはビアンキと同点の10位です。
満点10点を1回(オーストラリア)、8点を4回(モナコ、オーストリア、イギリス、ドイツ)獲得、最低評価は5点でした(スペイン)。
F1デビュー戦となったオーストラリアでマグヌッセンは2位を獲得。ダニエル・リカルドの失格により繰り上がったとはいえ、デビュー戦でトップ2に入ったのはマグヌッセンを含めてこれまで9人しかいません。
マグヌッセンはプラクティスからいい走りを見せ、雨で難しいコンディションになった予選で4位を獲得しました。唯一マイナスと言えるのはスタートの失敗ですが、「彼はそのヒヤッとする瞬間をうまくしのぎ切って“最も恥ずかしいデビュー戦”となるのを回避、その後は完璧な走りをして“最高の初戦”へと変えてみせた」と評価されています。
自己最低点のスペインは、1周目に攻めすぎてコースオフして順位を落とし、最終的に12位に終わりました。
●8位 ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)
F1ランキング 7位
英AUTOSPORT平均評価点 7.2点
ヒュルケンベルグとダニール・クビアトが同点で8位でした。
ヒュルケンベルグは自己最高点9点が2回(マレーシア、中国)、8点が3回(オーストラリア、モナコ、ドイツ)、最低点は4点(ハンガリー)でした。
マレーシアでは7番グリッドからスタートし5位フィニッシュ。トップ10ドライバーの中で唯一2回ストップを成功させ「いつもどおりの素晴らしいパフォーマンス」を発揮したと評されました。中国では8番グリッドから6位、「マシンから最大限の力を引き出した」と称賛されています。
ハンガリーでは、チームメイトのセルジオ・ペレスにヒットし、「彼らしからぬミスをした」として低い評価になりました。
●8位 ダニール・クビアト(トロロッソ)
ランキング 15位
英AUTOSPORT平均評価点 7.2点
クビアトはヒュルケンベルグと同点の8位でした。
自己最高点9点は1回のみ(オーストラリア)ですが、8点が6回(マレーシア、バーレーン、中国、モナコ、オーストリア、イギリス)と安定して高い点数を与えられました。最低点は5点が2回(スペイン、カナダ)です。
F1デビュー戦のオーストラリアでクビアトは予選8位、決勝9位を獲得、入賞を果たしました。ヘルムート・マルコが常々称賛してきた精神力の強さを発揮し「Q3でコントロールを失った以外は予選でも決勝でもミスをせず、速さも見せた」と評価されました。
14位のスペインでは「パッケージの力を最大限に引き出せなかった」、リタイアに終わったカナダでは決勝中にスピンを喫し「期待はずれの週末だった」として低評価でした。
●7位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル)
F1ランキング 6位
英AUTOSPORT平均評価点 7.3点
ベッテルは最高点が9点が2回(マレーシア、スペイン)にとどまっていますが、最低点が6点(オーストラリア、オーストリア、ハンガリー)と極端に低い評価は受けず、この順位に。タイトル4連覇を果たしたベッテルですが今年前半戦では精彩を欠き、実際のF1ランキングでも6位にとどまっています。
予選2位決勝3位のマレーシアは「メルセデスのアドバンテージを考えると3位が望み得る最大の結果だった」と高く評価。スペインでは予選Q3でのギヤボックストラブルによって15番グリッドからスタートしながら4位を獲得、「不運に見事に立ち向かい素晴らしい仕事をした」と称賛されました。
●6位 ジェンソン・バトン(マクラーレン)
F1ランキング 8位
英AUTOSPORT平均評価点 7.4点
バトンは自己最高点9点を2回(マレーシア、イギリス)獲得、最低点5点が2回あったものの(スペイン、オーストリア)、8点を5回(オーストラリア、バーレーン、モナコ、カナダ、ハンガリー)得たことでこの順位となりました。
10番グリッド、決勝6位のマレーシアでは、予選Q3のウエットコンディションで他のドライバーと異なりインターミディエイトを履くというギャンブルをして敗れましたが、「マクラーレンの苦しい状況を考えると賭けに出たのは理解できる。決勝では素晴らしい走りをした」と評価されました。イギリスは3番グリッドから4位を獲得、「決勝でリカルドを抜けなかったことだけがマイナスだがすべてのチャンスを最大限に生かした」との評がなされています。
スペインは「1周目に順位を落としたため入賞にとどかなかった」、オーストリアではマグヌッセンほどの速さがなかったとして低い点数となりました。
●5位 バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)
F1ランキング 5位
英AUTOSPORT平均評価点 7.6点
ボッタスは10点が1回(イギリス)、9点が2回(オーストリア、ドイツ)、最低点も6点(バーレーン、モナコ)にとどまり、8点近い平均点を獲得しました。
イギリスでは雨がらみの予選で戦略を失敗したことにより14番グリッドからのスタートになりながら、メルセデスのルイス・ハミルトンに次ぐ2位でフィニッシュ。「完璧な週末だった」と評されています。
「予選は彼自身ではなくチームのミスで悲惨な結果となったが、それでもインターミディエイトのコンディションで(チームメイトのフェリペ・)マッサより0.4秒近く速かった」
「(決勝では)素晴らしいオーバーテイクを繰り返し、全くミスをせず、常に走りをコントロールし続けて1ストップを成功させた」
オーストリアでは2番グリッドからスタートし3位で自身初表彰台を獲得。ドイツでは2番グリッドからスタートし2位でフィニッシュ、3戦連続で表彰台に上っています。
●4位 ニコ・ロズベルグ(メルセデス)
F1ランキング 1位
英AUTOSPORT平均評価点 8.3点
現在ポイントリーダーのロズベルグには、10点1回(カナダ)、9点2回(オーストラリア、イギリス)、最低点が7点1回(中国)で、残りはすべて8点と安定した点数が与えられました。
カナダでロズベルグはポールポジションからスタート、MGU-Kのトラブルに見舞われながらも2位を獲得しました。「問題を抱えたマシンを非常にうまく管理し、不可能と思われた優勝まであと一歩のところまで持っていった」として満点が与えられました。
オーストラリア(3番グリッド、優勝)は、「予選結果は残念なものだったが、レースパフォーマンスは完璧で、タイヤを作動領域に保ちつつ燃料をうまく管理して走った」との評。
イギリスではポールポジションからレースをリードしたものの、トラブルによりリタイア。予選ではハミルトンに対して劣勢だったが「完璧な勝負をしてポールポジションを勝ち取った」として9点の評価となりました。
●3位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
F1ランキング 4位
英AUTOSPORT平均評価点 8.5点
今年はマシンに競争力がなくここまで優勝がないアロンソですが、評価ランキングではトップに迫る点数の3位に。満点10点が2回(中国、オーストリア)、9点3回(イギリス、ドイツ、ハンガリー)と高得点が与えられ、最低点も7点(マレーシア、スペイン)と、低い点数がありませんでした。
中国では5番グリッドから3位獲得を果たしメルセデス以外でのトップのポジションに立ちました。「アロンソはフェラーリに移籍して以来、しばしば最高級のパフォーマンスを見せているが、今回のアロンソがまさにそうだった」と絶賛されています。
オーストリアでは4番グリッドから5位という結果でしたが、メルセデスパワーユニット以外のトップで、「フェラーリにはメルセデスやウイリアムズを倒せる力はなかった。従って、アロンソが予選と決勝でそれ以外のトップの位置につけたことは、最高級の勝利を得たに等しい」と評されました。
●1位 ルイス・ハミルトン(メルセデス)
F1ランキング 2位
英AUTOSPORT平均評価点 8.7点
1位には同点でハミルトンとダニエル・リカルドが並びました。
ハミルトンは10点2回(マレーシア、スペイン)、9点5回(オーストラリア、バーレーン、中国、イギリス、ドイツ)という驚異的な高得点で、最低点は7点(オーストリア)が1回のみでした。
マレーシアでハミルトンはポール・トゥ・フィニッシュ。「ハミルトンが速さを持っていることは疑いの余地がないが、2014年のF1で要求される形のレースでうまく戦えるかどうかに関して疑問が残っていた」ものの「高温のマレーシアの難しいコンディションにおいて彼はパーフェクトな走りを見せ、チームメイトとの一騎打ちを楽々制してみせた」と称賛されました。
スペインもポール・トゥ・フィニッシュを飾り、「成熟さと圧倒的な強さを発揮し」ロズベルグの挑戦を退けたと評価されています。
●1位 ダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)
F1ランキング 3位
英AUTOSPORT平均評価点 8.7点
今年のスターのひとりであるリカルドは、ハミルトンと同点の1位でした。
今季ここまで2勝(カナダ、ハンガリー)を挙げたリカルドは満点は1回もないものの、9点がなんと9回、8点1回(マレーシア)、7点1回(オーストリア)という驚くべき安定感でハミルトンと同じ点数を集めました。
9点の高評価が与えられたのはオーストラリア、バーレーン、中国、スペイン、モナコ、カナダ、イギリス、ドイツ、ハンガリー。このうち満点該当者がおらず全体の最高得点だったのは、バーレーン、ドイツ、ハンガリーでした。
バーレーンではリカルドは予選で3番手タイムを出しながらペナルティによって13番グリッドからスタート、しかし最終的に4位まで順位を上げました。ベッテルとのバトルを制し「間違いなくベッテルより優れていた」と評されました。
ドイツでは5番グリッドからスタートし6位を獲得。スタート直後にクラッシュしたマッサを避けるために順位を落としたにもかわらず「後方から鮮やかな挽回を見せた」「アロンソとのホイール・トゥ・ホイールのバトルで驚くほど素晴らしい走りを見せた」と評価されました。
ハンガリーでは4番グリッドから優勝。セーフティカーのアドバンテージをうまく生かし、「タイヤの管理の仕方は素晴らしく、迷いのないオーバーテイク、正確な判断によって勝利を手に入れた」と絶賛されています。
前半戦ドライバー評価ランキング、いかがだったでしょうか。前半素晴らしい走りを見せてくれたドライバーの活躍はもちろん、ここまでは力を出し切れなかったドライバーが残り8戦でどこまで巻き返せるかも今後楽しみです。
最後に、評価ランキングを1位から順にご紹介します。
1位 ルイス・ハミルトン(メルセデス)
1位 ダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)
3位 フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)
4位 ニコ・ロズベルグ(メルセデス)
5位 バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)
6位 ジェンソン・バトン(マクラーレン)
7位 セバスチャン・ベッテル(レッドブル)
8位 ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)
8位 ダニール・クビアト(トロロッソ)
10位 ケビン・マグヌッセン(マクラーレン)
10位 ジュール・ビアンキ(マルシャ)
12位 フェリペ・マッサ(ウイリアムズ)
12位 ジャン-エリック・ベルニュ(トロロッソ)
14位 小林可夢偉(ケータハム)
14位 ロマン・グロージャン(ロータス)
16位 セルジオ・ペレス(フォース・インディア)
17位 キミ・ライコネン(フェラーリ)
18位 エイドリアン・スーティル(ザウバー)
19位 マーカス・エリクソン(ケータハム)
20位 パストール・マルドナド(ロータス)
21位 マックス・チルトン(マルシャ)
22位 エステバン・グティエレス(ザウバー)
■前半11戦の評価記事は以下のリンクでご覧いただけます。
・第7戦カナダ “希望が見えない週末”に健闘の可夢偉に高い評価
・第8戦オーストリア「可夢偉は楽観的すぎる戦略でよく戦った」
・第9戦イギリス「可夢偉は見事に事故を避け最大限の結果出した」