キミ・ライコネン(フェラーリ)が変である。開幕4戦を終えて、7位、12位、10位、8位と、いまだ表彰台に上がることができていない。昨年は、開幕戦で優勝しただけでなく4戦中3度も表彰台に上がり、復帰した2012年も4戦目には2位表彰台を手にしている。ライコネンが4戦を終えて、表彰台に上がることができなかったシーズンは、マルチディフューザー問題に揺れた2009年以来のことである(この時の成績は開幕戦から15位、14位、10位、6位)。

 実はライコネンは「それまで使用していたモノコックに問題が出て、中国GPでシャシーを変更」(ライコネン)していた。しかし、今シーズン不調の原因がモノコックだけの問題でないことは、中国GPでチームメートが3位に入りながら、8位に終わったことでもわかる。

 中国GPでの不振の最大の要因は、ライコネンのドライビングスタイルにある。

「ピットインしてタイヤを履き替えた直後はマシンのハンドリングが良いんだけど、フロントタイヤにグレイニング(ささくれ摩耗)が起きると、ドライビングがとても難しくなるんだ」

 ライコネンのドライビングスタイルの特徴は、リヤタイヤに優しいことだ。19戦中もっともリヤタイヤに厳しいサーキットのひとつであるバーレーンGPで、2012年と2013年にいずれも2位を獲得していることが、それを物語っている。しかし、今年のバーレーンGPでは「1周目にマグヌッセン(マクラーレン)にぶつけられて、空力によるダウンフォースが不足してしまった」ため、そのアドバンテージを生かすことができなかった。

 逆にフロントリミテッド(フロントタイヤに厳しい)と呼ばれる上海インターナショナル・サーキットはライコネンが苦手とするサーキットのひとつ。さらに「今年は例年より気温が低く、かつ今年のピレリタイヤが温まりにくい」(ライコネン)こともあって、フロントタイヤのグレイニングがひどくなりやすく、それがライコネンを一層苦しめた。

 そういう状況では、マシンのセットアップがいつも以上に重要になるのだが、中国GP初日は「朝から完全には解決できないトラブルに悩まされた」(ライコネン)ため、セットアップの詰めが甘くなったことも中国GPで8位に終わった遠因と考えられる。

 レース後のメディア向け会見に現れる前、ライコネンは長い間、新チーム代表となったマルコ・マティアッチと話し合っていた。普段、あまりミーティングを長く行わないライコネンにしては珍しい光景だった。それほど、現在のライコネンは追いつめられている。そして、それは逆にその不振からなんとかして抜け出そうと、必死になっている証である。ライコネンはまだ、諦めていない。

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