日産自動車は4日、2012年のニュルブルクリンク24時間耐久レースに、水野和敏監督率いるニッサンGT-Rの開発チームで挑戦すると明らかにした。マシンは、サーキット走行向けに販売されている“クラブトラック・エディション”をベースにしたGT-Rになる。
2007年から販売がスタート、ニッサンの誇るスーパースポーツであるGT-Rは、スーパーGTやFIA GT1などモータースポーツ界でも活躍。市販車についても、ニュルブルクリンクを舞台に何度かアタックが行われ、好記録をマークしている。
そんなGT-Rだが、これまでニュルブルクリンク24時間では大々的に活動を行っておらず、昨年ゲーム『グランツーリスモ』の山内一典プロデューサーが乗り込んだ、シュルツ・モータースポーツ開発のマシンによるプライベーター参戦など小規模な活動となっていた。
しかし4日、日産自動車はGT-R開発チームが、GT-Rでニュルブルクリンク24時間に参戦すると発表。ニッサンのモータースポーツ活動は主にニスモが担うことが多いが、「GT-R開発チームが出て、車と自分とファンの期待を背負って活動する。こういったことをやってみたいと思っています」と水野監督は語っている。
マシンは、GT-Rのサーキット走行専用モデルである“クラブトラック・エディション”をベースに、24時間レースを想定したガソリンタンク容量の拡大、さらにリヤウイングの追加したマシンとなる。
参戦は2台体制で、23号車のドライバーには、ニッサンドライバーの鈴木利男、ミハエル・クルム、田中哲也、星野一樹が名を連ねる。また、ヨーロッパで推進されているゲーム出身のドライバー育成プログラム、“GTドライバーアカデミー”から123号車が出場。山内/ルーカス・オルドネス/トビアス・シュルツ/山本泰吉という4人が組む。
「より速く、より車に負荷がかかる、こんな条件をつくるために24時間レースに出る。24時間レースを完走することによって、5年先の車の性能進化に対する耐久信頼性を確保するために参戦します。ふたつめは、我々チーム自身が成長しなければいけない。私がいつも言うように、車の進化というのは、その車を開発し続ける人間の進化でもあります」と水野監督。
「人間が進化しなければ、車は進化しない。そういう意味でチーム全体が24時間レースを通し、極限の車の性能開発に挑む。その結果、ひとりひとりの人間に開発のテーマ、開発の鍛えることの道筋、こういういったものができてくる。これをつくるために参戦します。それからもちろん3つめは、皆さまだってニュルで育ったGT-Rが、ニュルのレースに参戦する。こういった期待と希望があると思います」
ニュルブルクリンク24時間は、近年はGT3規定の純レーシングカーが総合優勝を争う存在のため、このGT-Rは総合優勝を狙う立場にはないかもしれないが、レクサス/トヨタ、スバルに次ぐ日本からのチャレンジャーの活躍に注目したいところだ。
ニッサンGT-R・ニュルブルクリンク24時間参戦体制
#23 Team NISSAN GT-R
ドライバー:鈴木利男/ミハエル・クルム/田中哲也/星野一樹
チーム監督:水野和敏
チーフメカニック:山洞博司
メカニックチーム:NISSAN GT-R開発メカニック&ハイパフォーマンスセンター代表メカニック
&NISSAN GT-R共同開発部品メーカー
#123 Team GT Academy GT-R
ドライバー:山内一典/ルーカス・オルドネス/トビアス・シュルツ/山本泰吉
チーム監督:マーティン・シール
メカニックチーム:カール・ブロッド/トーマス・ジンマーマン/ゲーリー・フィニー