マクラーレンのルイス・ハミルトンが、カナダGPの週末にレッドブル・レーシングのチームプリンシパルとチームのオフィスで話をしていたことがわかり、将来の移籍のうわさが浮上している。
カナダGPの土曜夜、ハミルトンはレッドブルのオフィスビルディングにおいて代表クリスチャン・ホーナーと個人的に会い、少なくとも15分間ともに過ごしたという。
会話の内容は明らかになっておらず、レッドブルの関係者は単なる挨拶にすぎないと主張しているが、将来の話をしていた可能性が高いとみられている。
その話が予備的な話以上のものなのか、確実に将来につながるものなのか、詳細は分かっていないが、この行動は、キャリアの最もいい時期にいるハミルトンがマクラーレンの今の競争力に不満をつのらせていることの表れであると考えられている。
ハミルトンはモナコとカナダでクラッシュし、批判を浴びているが、レッドブル・レーシングを倒すためには限界までプッシュしなければならない状況であるともいえる。セバスチャン・ベッテルと今季タイトルを争うとみられていたハミルトンだが、カナダでノーポイントに終わったことで、ベッテルとの差は76ポイントに拡大してしまった。
ハミルトンとマネジメントチームは、マクラーレンとの契約が切れる2012年末以降に関して検討しており、マクラーレンが2008年にハミルトンがタイトルを獲った後、選手権でトップに立てる力を示していないという事実が考慮されているという。
ハミルトンの選択肢は、マクラーレン残留か、フェラーリあるいはレッドブルへの移籍となるだろう。しかしフェラーリは、以前ハミルトンとトラブルがあったフェルナンド・アロンソと長期契約を結んでおり、ハミルトンが移籍できる可能性は低そうだ。レッドブルは現在ベッテル中心のチームとなっているが、2013年にハミルトンのようなトップドライバーを加入させることは、レッドブル社のボス、ディートリッヒ・マテシッツにとっては魅力的に思えるかもしれない。
ハミルトンがレッドブル入りする可能性は、今シーズン前のテストでマクラーレンが不調だった際にも推測に上っていた。
4月にハミルトンは、キャリアの最後までマクラーレンにいると思うかという質問に対して、「ワールドチャンピオンシップの獲得以外のことは、何も考えていない。まだF1にデビューしてからそれほどたっていないしね」と述べた。
「居心地がいいトップチームで走れてラッキーだと思っている。でも僕はタイトルを獲りたいんだ」
マクラーレンへの忠誠心は永遠に続くわけではないのかと聞かれ、「もちろんそうだ」とハミルトンは答えた。
「ここでレースをするのは楽しいし、このまま続けていきたい。でも1年の終わりには、そのチームでの自分のポジションと、その年に何が起こったかを評価する必要がある」
当時ホーナーは、ベッテルとハミルトンのような優秀なドライバーを組ませると揉め事に発展する可能性があるとしてうわさを否定したが、ハミルトンを起用する可能性が将来全くないとは言わなかった。