鈴鹿サーキットで3月9日〜10日の2日間にわたって行われた全日本選手権スーパーフォーミュラの第1回公式合同テスト。12年ぶりに国内レースへと復帰するとあって注目の集まる小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO)は、総合7番手でテストを終えた。

 今シーズン、KYGNUS SUNOCO Team LeMansからスーパーフォーミュラに参戦する可夢偉は、昨年12月に岡山国際サーキットで行われたシリーズのエンジンメーカーテスト/ルーキーテストに参加。SF14初ドライブながら、2日間のテストを首位で終えたことで話題をさらった。ただ、このテストに参加していたSFレギュラードライバーは、トヨタの開発車に乗り込んでいた中嶋一貴のみ。そのため、今回の鈴鹿テストは可夢偉にとって、シリーズ参戦ドライバーたちが揃う中で走りこむ初めての機会となっていた。

 今回のテストで可夢偉は、初日にデグナーで大きくコースアウトを喫する場面はあったものの、精力的に走行を重ね、2日間で合計124周を周回。1分38秒150のタイムで総合7番手につけた。2日目の走行終了後にメディアからの囲み取材に応じた可夢偉だが、テストを振り返るとともに今後に向けて口にしたのは、「勉強」というワードだった。

「岡山は高速コーナーがなかったので、この鈴鹿は高速コーナーをジャッジをするという意味ではすごく大切なテストでした」と、まずは今回のテストを総括した可夢偉。2日目午後にマークしたベストタイムについては、「クルマを普通に煮詰めていって、昼から変えたセッティングで順当にタイムを出したという感じ。自分の中でも改善点はいっぱいある。タイムに関してはなるようにしかならないかなと思います」と冷静だ。

●課題は“タイヤの使い方”
 そんな可夢偉が課題として挙げたもののひとつに、タイヤの使い方がある。F1はピレリ、スーパーフォーミュラはブリヂストンと、双方ともにワンメイクだが、その特性には大きな隔たりがある。「(F1と比べると)やっぱり多少エンジンというところで劣っているとは思いますが、グリップでかなり上に行っていると思う」と、ブリヂストンタイヤのグリップ力には好感触を掴んでいる様子だが、スーパーフォーミュラではタイヤウォーマーが禁止されていたりとハード面でF1と異なる部分も多い。そうした点も含め、タイヤの使い方というところでは、まだ課題が残っているという。

「まだタイヤの良いところが使い切れてないのは間違いない。ウォーマーの温め方とコールドタイヤの温め方も全然違うので、そこはしっかりと勉強しなくてはいけない。(F1のような)センサーもなく、感覚で合わせこんでいかなくてはいけないので、奥の方にあるものを引き出している途中。もう少し自分なりに勉強する時間が必要なのかなと思います」

 とは言え、開幕までに残された走行時間は、3月27日〜28日に岡山国際サーキットで開催される公式合同テストのみと、そう多くはない。「早くこれ(タイヤの使い方)をもう少し理解しないと、あと1回しかテストがないのでやばいなあとは思っています」と、口調は軽いものの、可夢偉も危機感を口にする。

●国内サーキットの習熟も鍵
 また、長く海外で戦ってきた可夢偉にとっては、走行経験がない、もしくは久しく走っていない国内コースの習熟も開幕後の課題として残る。各ラウンドとも1時間ほどの練習走行のみで予選に臨まなくてはならない状況は、大きなチャレンジとなりそうだ。

「コースも覚えなくてはならないし、レースのルールも把握してどういうところに重点を置くかというところも考えなくてはいけない」と可夢偉。

「あとは戦略、タイヤとかレースの展開をどう読むか。あまり戦ったことのないドライバーとレースをするわけなので、どういうレースをするのかとか、どういう時に速いのかとか、そういうこともしっかりと読んでいかないといけない」と、シーズンを戦っていく上で解決するべき課題は数多くある。

「色々なレベルでまだまだ学習中なので、これからしっかりと勉強していかなくてはならないなと思います」と、まさしく“ルーキー”のような、謙虚すぎるとも言える言葉を口にした可夢偉。目まぐるしいまでのスピードで競争が進むF1の現場で培ってきた適応力を武器に、開幕までにどこまで合わせこんでくるのか、まずは今月末の岡山テストに注目したいところだ。

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