予選後、マクラーレンはチームの首脳陣とドライバーふたりを交えた「Meet the Team」と呼ばれる記者会見を行っている。それはホンダとパートナーを組むことになった2015年も変わりなく、エリック・ブーリエ(レーシングディレクター)とジェンソン・バトン、ケビン・マグヌッセンらドライバーとともに、ホンダの新井康久(専務執行役員/F1プロジェクト総責任者)も出席した。

 当然、日本から来ているメディアのほとんどが参加しただけでなく、マクラーレンの地元となるイギリスのメディアも大半が出席した。2008年以来、7年ぶりにF1復帰するホンダを追いかけて、日本からも普段取材に来ないメディアがサーキットを訪れている。さらにF1界で最も多くの報道陣が集うイギリス勢は、日本勢をはるかにしのぐ規模で、会見場は椅子に座りきれないほど、大勢の報道陣が集まった。

 マクラーレン・ホンダは、予選参加18台中最下位という結果に終わった。その報道陣から誰よりも多くの質問を浴びたのは、新井総責任者だ。

「いつになったらホンダはまともに走り出すのか?」「なんで、こんなにひどい状況なのか?」という強い調子の質問もあった。それでも新井総責任者は感情的になることなく、ひとつひとつ真摯に答えていた。

 新井総責任者の回答で気になる点がひとつあった。「今回の結果は熱の影響で、MGU-Kだけでなくエンジン側も少し抑えて使用せざるを得ない状況となっているため」というものだ。

 会見終了後これを聞いていた、あるイギリス人ジャーナリストが、こんなことを言っていた。

「今のホンダの状況は昨年ルノーが苦労したのに似ている」

 運動回生エネルギーの仕組みの特性上、MGU-Kを稼働させると、エンジン本体のクランクシャフトに大きな負担がかかる。だから、MGU-Kをフルパワーで使えない。そして、たとえMGU-Kをフルパワーで使わなくても、使えば使うだけクランクシャフトに負担がかかるから、エンジン側もセーブしなければならないという状況になる、というのである。

 この見解が正しければ、ホンダが抱えている問題は回生エネルギーのパワーを上手に使うというパフォーマンス的な問題だけでなく、パワーユニットの根本的な耐久性にも及んでいる可能性がある。ただし、その点に関してはトークンを使用しなくても「安全性の向上」を理由にシーズン中に改良することができる。ただし、その場合は以前よりも軽量化したり、パワーアップしたりとパフォーマンス面で向上しないことが条件となる。

  今回、熱の影響があったというオーストラリアGPの予選開始時の気温は27℃、次戦マレーシアGPが開催されるクアラルンプールの、同日の最高気温は34℃。記者会見が終わってから約1時間後、同じ場所でマクラーレンとホンダのエンジニアはミーティングを始めた。開幕戦で直面した問題に、2戦目以降どのような対策を施すのか。明日のレースだけでなく、シーズンを通した戦い方にも注目したい。

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