日曜日の朝、眠そうな目つきでパドックに到着したメカニックたちがいた。メルセデスAMGとマクラーレンのメカたちである。

 メルセデスAMGはエンジンから出火したルイス・ハミルトンのマシンの準備のため、マクラーレンはQ3でクラッシュしたケビン・マグヌッセンのマシンを整備するため、いずれもパルクフェルメルールが適用される時間の後も作業を続け、夜遅くまでサーキットにいたからである。メルセデスAMGのあるメカニックによれば、「昨夜、サーキットを出たのは23時だった」と言い、マクラーレンのあるメカニックは「作業が終わったのは、深夜0時だった」と言う。

 ハミルトンのマシンに発生した火災の原因について、メルセデスAMGのパディ・ロウ(エグゼクティブディレクター/テクニカル)に確認したところ、「燃料漏れ」だと教えてくれた。ただし、それは通常の燃料漏れではなく、「ハイプレッシャー(高圧力)部分で、燃料タンクの外側で起きた問題」だと語った。

 この件について、ハンガロリンクを訪れていたホンダの総責任者である新井康久(本田技術研究所取締役専務執行役員四輪レース担当)にも聞いたところ、次のように解説してくれた。

「高圧ポンプに接続されている高圧ラインに何らかの問題があった可能性があります。その部分は通常、ガレージでメカニックがいじるような場所ではないので、元々の部品に何らかの問題があった可能性が高かったのではないしょうか。したがって、トラブル自体はそれほど大したなものではないと思いますが、火災の影響の方が深刻。先ほどもメカニックたちが新しいモノコックを運んでいましたから」

 新井総責任者が言うように、土曜日の夜の時点でハミルトンのマシンは「フロントサスペンションを除いて、すべて新しいものに交換した」(パディ・ロウ)という。このため、ハミルトンはピットレーンからスタートするとなった。2戦連続で予選で不運なトラブルに見舞われ、後方からスタートを余儀なくされたハミルトンは「ここはオーバーテイクが最も難しいと言ってもいいサーキットのひとつだから、すごく厳しいレースになる」とチームの広報に短いコメントを残し、予選後に予定していた記者会見をキャンセルして、サーキットを後にした。

 なお、予定通り記者会見を開いたニコ・ロズベルグは、「自分だったらホテルへ帰らずにエンジニアと次善の策を練る」と案にチームメートの行動を批判していたという。

 批判といえば、ミディアムタイヤでのアタック後にガレージとどまったため、まさかの予選Q1落ちを喫したフェラーリのキミ・ライコネンも、チームを批判した。

「再びタイムアタックに出るつもりでいたのに、チームは大丈夫だと言っていた。本当かと4度も確認したのに、結果は見てのとおりだ」

 ライコネンに近いある関係者によれば、ライコネンにアタックしなくて良いと指示したのは、実はピットウォールではなく、マラネロにいた3人のストラテジスト(戦略家)だったという。

 ハミルトンとライコネンは、2007年、2009年、2012年、2013年にいずれも優勝ハミルトン、2位ライコネンという1-2フィニッシュを飾っているほど、ハンガロリンクが得意なドライバー。前戦ドイツGPではレース前にハミルトンの順位を尋ねると、チームマネージャーのロン・メドウは「2位」と即答していた。今回同じ質問をロウにしてみると「……」という回答だった。果たして、ハミルトンとライコネンは、どこまで挽回できるのか?

 なお、日曜日の朝の段階ではレース中に雨が降る確率は低くなったいる。しかしもし雨になった場合、2006年と2011年のウエットレースをいずれも制しているジェンソン・バトン(マクラーレン)の存在も不気味である。

 ハンガリーGPが終わると夏休みに入るF1。その前に行われるハンガロリンクでの一戦は、前半戦を締めくくる重要な戦いとなりそうだ。

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