F1のレース中のピットレーン制限速度を引き下げるという案をFIAが却下したと報じられている。
チームの大部分が、安全性の面から決勝中のピットレーンでのスピード制限を100km/hから60km/hに下げるという提案を支持していたが、FIAレースディレクターのチャーリー・ホワイティングはその必要はないとの見解を明らかにしたとBBCが伝えている。現在の規則では安全ではないという証拠はないとホワイティングが説明したということだ。
現在はプラクティス中の制限速度は60km/hだが、予選と決勝では100km/hに引き上げられている。ただしレギュレーションには制限速度はFIAからの忠告によりスチュワードが変更することができるとも記されている。
昨年ベルギーのゾルダーでのスポーツカーレースにおいて、ピットインしたマシンにブレーキトラブルがあり、メカニックが死亡する事故があった。これを受けて、F1のピットレーンの制限速度を見直すという提案がなされたのだが、FIAはこの事故はメカニカルトラブルによるもので、スピード制限に問題があったのではないとの見解を示している。F1で現在の速度制限が設けられて以来、スピード超過によるピットレーンでのアクシデントは発生していないということだ。また、ピットにおいては他にもさまざまな安全対策がとられている。
ピットレーンの制限速度を変更するとレース戦略にも影響するという説もある。ピットストップが1回減らされる可能性があり、そうすればタイヤ交換を多めに行わせてレースを活性化させたいというピレリの目的が阻害されることになるかもしれない。
さらにFIAは、視聴者の目から見ると、レース中にマシンがピットレーンを60km/hで走った場合、遅く感じるのではないかとも考えている。