通常であれば水曜に現地入りしていてもサーキットに行くことはない。しかし、今回のアブダビでは水曜からサーキットへレンタカーを走らせた。目的は3戦ぶりの出場を発表したケータハム、そしてマルシャの状況を確認するためだ。
午後3時にヤス・マリーナ・サーキットに到着すると、パドックでは多くのチームスタッフが作業を行っていた。パドック入口側からレッドブル、メルセデス、フェラーリと前年度のコンストラクターズ選手権順にガレージとホスピタリティハウスが並んでいる。2013年に最下位だったケータハムのガレージは一番奥だ。しかし、そこへたどり着く前に、チームマネージャーのミオドラグ・コトゥールと約1カ月ぶりの再会を果たし、ケータハムがアブダビに来ていることを確認した。
「この1カ月間は我々にとって厳しい時間だったが、なんとか帰って来ることができた。来年のためにも、最終戦を頑張るよ」(コトゥール)
ケータハムのガレージに到着すると、ガレージ前ではタイヤの管理、ピットストップ機材のメンテナンスを数人のメカニックたちが行っている。聞けば「管財人はレースチーム以外の全スタッフ(ファクトリーペースのスタッフ)を解雇しただけでなく、レースチームのスタッフも少なからずカットしているため、通常であれば60名ほどいるスタッフの数が40名ほどに減っている」という。
しかも、ガレージの上に掲げられているドライバーの名前は、依然として小林可夢偉だけで、いまだチームメイトが誰になるのかわかっていない。
ケータハムに関して、もうひとつ気になっていたのが、ケータリングスタッフのことだった。というのも、月曜に可夢偉がこんなコメントを自らのツイッターでつぶやいていたからだ。
「今週はケータリングチームとか来るのかな? とりあえずふりかけとサトウのご飯買って行こうか。。。」
ケータリングスタッフはゲストへのサービスだけでなく、ドライバーを含めたチームスタッフの食事も作っており、チームには欠かせない存在だ。おそるおそるケータハムのホスピタリティハウスの中を覗くと、そこにはロシアGPまで仕事していた懐かしい顔があった。「私たちが可夢偉の料理をきちんと作るから安心して」とケータハムのケータリングスタッフは話してくれた。
これでケータハムが、なんとかアブダビGPに出場できることは確認できた。しかし、チーム解散の報から一転、最終戦に出場するという噂が流れたマルシャは、どうだろうか。ケータハムの手前にガレージは用意されているのだが、中にはスタッフはおろか、機材すら何ひとつない。パドックにいる関係者によれば、「今夜(水曜の夜)到着すると聞いている」というが、現時点でサーキットにマシンがないということは、いわゆるFOCA便(F1チームの共同運行便)に乗っていない可能性が高く、負債の返済に苦しむマルシャが自腹で機材を搬送するとは考え難い。もし、すでにサーキットのどこかに機材が到着しているとしても、木曜の1日でマシンを組み立て、ガレージを設営するのは至難の技だ。
さらにガレージ裏に足を運ぶと、ケータハムのホスピタリティハウスの隣には、ウイリアムズのホスピタリティハウスがある。つまり本来あるべき場所にマルシャのホスピタリティハウスがないのである。すると、マルシャのチームウェアを着たスタッフを見かけたので心配は杞憂に終わったかと思ったが、よく見ると彼らはマルシャへパワーユニットを供給しているフェラーリのエンジニアたちだった。彼らは「今は、彼らが到着することを待つしかない」と、フェラーリのチームホスピタリティへ向かっていった。
果たして、可夢偉のチームメイトは誰になるのか? マルシャはアブダビへやってくるのか? まずは本日のエントリー締切に注目が集まる。