開幕前、最後のウインターテストが行われていたスペイン・バルセロナで、新しくフェラーリのチーム代表になったマウリツィオ・アリバベーネが、グランドスタンドで観戦に来ていた地元のファンに混じってテストを見守っていたという話を聞いた。メルボルンの金曜日にアリバベーネにそのことを尋ねると、新代表は彼なりの考えを語ってくれた。

「私たちは観客やファンの熱い応援のおかげで、レースできている。そのことを忘れてはならない。だから私はスタンドへ行って、ファンの目線に立って、私たちがやっているF1を見ることにしたんだ」

 一部の報道ではF1パドックの敷居を高くしようとしているバーニー・エクレストンへの抗議ではないかと言われているが、アリバベーネは「それはまったくない。抗議ではなく、あくまで個人的にファンの目線に立ちたかっただけだ」と言う。

 昨年までフェラーリのチーム代表を務めていたマルコ・マティアッチは、もともとレース畑でないこともあり、パドックでかなり孤立している印象があったが、長年モータースポーツ界をサポートしてきたマールボロで知られるフィリップモリスのマーケティングのトップとして、すでにF1界で人脈を作っているアリバベーネは、チーム代表として臨んだ緒戦オーストラリアGPで早くも存在感を見せていた。

 金曜日のフリー走行2回目のこと。メルセデス・チームの非常勤会長を務めるニキ・ラウダはセッション中にもかかわらず、チームのガレージをまたいで、ピットレーンをうろうろしていた。レギュレーションで禁止されているわけではないが、通常セッション中に他チームのガレージ前へ足を運ぶことはない。そのことはラウダも理解しているはずだが、それでも会って話がしたい相手がいた。それがアリバベーネだった。

 フェラーリのガレージ前でアリバベーネを見つけたラウダは、自分のチームのマシンがピットレーンを何度も通過していくなか、アリバベーネと10分間ほど話し合っていた。F1界のご意見番的存在であるラウダが、わざわざ会いに来る男。それが新生フェラーリを率いるアリバベーネである。

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