KCMG、ル・マンでの勝利の夢絶たれる

インペラトーリ、7番手スタートから第1スティントで1位に浮上も
ドライブシャフトのトラブルで午後9時30分、無念のリタイア

KCモータースポーツ(KCMG)は、第82回ル・マン24時間レースでの勝利を目指して果敢に戦ったものの、中国系チームのオレカ 03R-ニッサンマシンはドライブシャフトのトラブルによるアクシデントに見舞われ、残念ながら修理不能となり、早すぎる終わりを迎えることとなった。

アレキサンドレ・インペラトーリは、レース開始から6時間半が経過したところで、カーティング・コーナーの出口で激しいクラッシュに見舞われ、ケガこそなかったもののピットに戻ることが出来ず、FIA世界耐久選手権で唯一ダブルポイントのつくレースでのポイント獲得はならなかった。

耐久レース最高峰のこのレースは、気まぐれな天候に見舞われたスタートとなったが、期待溢れる好調な走りを見せていたKCMGの戦いは、惜しくも事故により終わりを迎えることとなった。

ポールポジションからわずか1秒の差で予選をクリアしたインペラトーリは、土曜日午後の決勝スタート直後の第1スティント、その僅か45分間で7位から1位へ驚異の躍進を見せた。このスイス人エースは、2回目のピットインでリチャード・ブラッドレーにステアリングを引き渡した時には、後続を20秒以上も引き離す快挙を見せていた。

だが、イギリス人ドライバーがハンドルを握ってすぐ、全長8.4マイルのサルテ・サーキットは激しい通り雨に見舞われてしまい、やっとの事で1周をクリアもスリックタイヤではなす術がなく、ミュルサンヌストレートに2カ所設けられたシケインのうち、最初のシケインでハイドロプレーニングに見舞われてしまい、タイヤバリヤへ激突してしまう。しかし、幸運なことにダメージは軽く、なんとかピットに戻って修復作業を終えるとセーフティカー先導が続く中、3番手でコースに復帰を果たす。

2度目のピットインではリアウィングのチェックを行ったこともあり、その後リチャードは順位を11位へと下げるが、その後彼とマット・ホーソンがロストタイムのリカバーに努めることに。こうしたふたりの努力の甲斐あって、リタイアを余儀無くされた事故が起こった時、インペラトーリはクラス7位にまで挽回していたのだが……。

■リチャード・ブラッドレー
「こんなに早くリタイアする事になってしまい、本当に残念だが起きてしまったことは仕方がない。プラスに考えるなら、激しい通り雨が降るまでのレース前半は僕達が余裕でレースを引っ張っていたし、その後も荒れたコンディションの中、スピードを発揮出来ていた。ただ今回は運が悪かった。チームのパフォーマンスは最高だったし、個人的にはル・マンデビューには満足しているよ。あまりにも早くリタイアしてしまったのが唯一の後悔だね」

■マット・ホーソン
「24時間のレースでこんなに早くリタイアしなければならなかった事が残念で仕方ない。アレックスはいとも簡単に首位に立って、いいペースを作って最高の仕事をし、リチャードがそれを引き継いだ。今年のKCMGは勝利につながるペースで走れていたけれど、本当の意味での運に見放されていたんだと思う。今はオースティンのレースに向けて、気持ちを切り替えたい」

■アレキサンドレ・インペラトーリ
「今日は絶対に勝てるマシンの状態に仕上がっていただけに、本当に残念で仕方がない。サーキットに出て最初の2スティントではレースを牽引していたのに、天気に阻まれてしまった。運には見放されたが、マシンが止まってしまってもまだ走る気でいたんだ。でも、もっと大きな事故になっていた可能性もあったのだから、それでも良しとしなければならないんだと思う。時としてそういう事もあるよ。来年また頑張るしかないね」

■ポール・イップ/KCMGマネージング・ディレクター
「今回の結果は本当に残念だ。表彰台に上がれる可能性はもちろん、優勝だって可能なくらいの余裕のある走りだった。しかし、24時間レースである以上、何が起きても不思議はない。来年は運が味方になってくれる事を願うとしよう。今は、残りのWECのレースに集中して、今年のシリーズタイトル獲得に望みをかけてマシンの損傷を直したい」

ル・マンでの完走を果たせなかったことは残念だが、KCMGは早くもサーキット・オブ・ザ・アメリカで9月18~20日にかけて行われる、FIA WECのシリーズ第4戦に向けてチームの再編に着手している。

本日のレースクイーン

佐々木美乃里ささきみのり
2025年 / スーパーGT
KeePer Angels
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年6月号 No.1608

    [特集]レッドブル 角田裕毅
    5つの進化論

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円