今年からエンジン開発の「ブラックボックス」がなくなったのは、ライバル各社に追いつくチャンスを与えるためだった、とメルセデスのアンディ・コーウェルが語った。

 2014年に現在の1.6リッターV6ターボエンジンが導入されて以来、過去2シーズンはメルセデスが圧倒的な優位を占めてきた。そうした状況の中、メルセデスに追いつけずに苦しんでいる他のチームの不満を考慮して、パワーユニットのすでに開発を凍結した部分(「ブラックアウト(=抹消)」されたという意味で「ブラックボックス」と呼ばれる)も、再び開発ができるように今年からルールが変更されている。

 メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズのマネージングディレクターを務めるコーウェルは言う。
「今年はレギュレーションが変わって、いわゆるブラックボックスはなくなった。これはトークンの規定さえ守れば、42項目の開発領域のどこでも開発が可能になることを意味する。今年は32のトークンを使えるが、もしそうしたければメルボルンで全部使うことができ、アブダビの最終戦で全部使ってもいいし、その間の好きなところで使うこともできる」

「もはや開発ができない領域はない。なぜこのルールを廃止したかと言えば、マニュファクチャラーのいずれかが、良いアイデアを見つけながらブラックボックスのせいで投入できない状況に陥るようなことは、誰も望んでいないからだ。苦戦しているマニュファクチャラーが、『ルールがあるために追いつけない』と言い出すようなシナリオは好ましくない。2番手以降がトップに追いつくのを困難にするようなルールは悪法だ」

 だがコーウェルは、新たなF1シーズンを迎えるにあたって、メルセデスはいったん凍結された領域のいずれかを冬の間に見直す必要はなかったとも述べている。
「2014年のルールの下で最も重視したのは、その年のオーストラリアGPまでにできる限り高い性能を引き出しておくことだった。シーズン中にはもう何も投入できなくなることを知っていたからだ。また、将来制限されることになる領域にも力を入れた」

「ブラックボックスにされたのは、そこでは熱効率の大幅な向上が期待できないという理由から、いずれにしてもあまり開発をしたいとは思わなかった部分だ。したがって、たとえば燃焼のような重要領域は、ずっと開発が可能な状態にしてある。逆にブラックボックスにされたものの例としては、クランクシャフトの構造などがある」

「だがルールの導入から2年がすぎて、もうこうしたことに時間を費やすのはやめるべきだと誰もが感じている」
 2017年にはトークンシステムも廃止され、マニュファクチャラーによる無制限の開発への道が開かれることになる。

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