MORIZO Challenge Cup第5戦
2026 ARK ラリー・カムイ

轍が待ち構える悪天候のサバイバル戦
長尾綱也が待望のMCC初勝利

 7月10日(金)から12日(日)にかけて、2026年シーズンJRC全日本ラリー選手権第5戦『2026 ARKラリー・カムイ』が、北海道虻田郡ニセコ町を拠点に開催されました。JN-3クラス内で展開される『MORIZO Challenge Cup(MCC)』では、ウェルパインモータースポーツから参戦する長尾綱也選手/尼子祥一選手が優勝を飾り、チームメイトの及川紗利亜選手/山本磨美選手が最優秀女性ドライバー賞を獲得しました。

 今年で3年目を迎えるMCCは、若手ドライバーの育成とラリー競技の活性化を目的に、2024年にスタートしました。全日本ラリー選手権JN-3クラスの車両規定をベースに、改造範囲を狭めたGRヤリス/GRヤリスDATで腕を競い合う取り組みとして、大きな注目を集めています。対象となるのは25歳以下(一部条件付きで28歳以下)の若手ドライバーで、2026年シーズンは全日本ラリー選手権全9戦で開催されます。また、全日本ラリー選手権とは別にMCC独自のポイントが付与され、1位から3位までの上位入賞者、最多SSトップタイム賞、最優秀女性ドライバー賞が表彰されます。

 今季初のグラベル(未舗装)ラリーとなった第5戦『ラリー・カムイ』には、現在ポイントリーダーの奥井優介選手、ドライバーランキング2番手の米林慶晃選手をはじめ、長尾綱也選手、平川真子選手、三枝聖弥選手、及川紗利亜選手がエントリーしました。選手たちはラリーの1週間前に、北海道足寄郡陸別町の陸別サーキットでトレーニングを実施し、グラベルラリーに向けた経験を積んでラリー・カムイに臨みました。

 2月末の三河湾で幕を開けた2026年シーズンは、第5戦カムイで折り返し地点を迎えました。ニセコ町周辺の林道に設定されたスペシャルステージ(SS/タイムアタック区間)は、道幅の狭いグラベル路面が特徴です。2回目の走行では、ライン上に前走車による轍が刻まれるうえ、コース内には砂利が浮いた簡易舗装区間も点在するなど、難易度の高い一戦となりました。第6戦『ラリー北海道』とともに、普段走り慣れていないグラベルステージを走行することは、選手たちにとって貴重な経験を積む機会となります。

過酷なサバイバルラリーとなった今大会我慢の走りで2位を獲得した三枝聖弥/木村裕介組(IMSFDLGRヤリス初号機)

 ラリー初日は、前日から降り続いた雨により、コンディションはヘビーウエットとなりました。上位クラスの走行によって路面に深い轍が残るなか、SS1では米林選手がトップタイムをマークしましたが、続くSS2では長尾選手が米林選手に6.1秒差をつけて首位に立ちました。米林選手はSS3のスタートから1.2km地点でコースオフを喫してストップ。このSSを制した奥井選手が、首位の長尾選手から14.8秒差の2番手に浮上しました。31.3秒差の3番手には三枝選手、2分54秒差の4番手には及川選手が続きました。平川選手はSS3でコースオフした後、後続車両との接触もあり、大きくタイムを落としました。

 1回目の走行により、さらに厳しい路面状況となった午後のセクションでは、首位の長尾選手がSS4、SS5と連続でトップタイムを記録しました。この日の最後を締めくくるSS6は、豪雨によるコースコンディション悪化により競技区間の安全性が確保できないことから、主催者がキャンセルを決定。この結果、長尾選手が2番手につける奥井選手との差を34秒に広げたところで、初日を終えました。1分18秒3差の3番手には三枝選手がつけています。

 前日に続いて雨となった最終日、今大会最長の23.06kmを走行するSS7では、2番手の奥井選手がスタートから5km地点でコースオフ。コース復帰までに4分以上を要したことで、3番手へと順位を落としました。一方、首位の長尾選手はSS7、SS8で連続トップタイムをマークするなど順調に走行し、1分33秒7差の2番手には三枝選手が順位を上げました。
長尾選手は、サービスを挟んだ後半セクションでもすべてのSSでトップタイムを記録し、大差をつけてフィニッシュ。これまで幾度となく表彰台に上がってきた長尾選手が、待望のMCC初勝利を達成しました。3分4秒4差の2位には三枝選手、7分30秒6差の3位には奥井選手が入りました。10分5秒7差の4位に入った及川選手は、初挑戦となった全日本ラリー選手権のグラベルラリーで、自身初の最優秀女性ドライバー賞を獲得しました。

 第6戦は、9月4日(金)から6日(日)にかけて、北海道帯広市を拠点に行われる『ラリー北海道』です。スムーズな路面のハイスピードSSが特徴で、新たなSSも加わることで、ペースノートの正確性や対応力も問われる一戦となります。カムイに続くグラベルラリーでの力走にご注目ください。

初優勝を達成した長尾綱也/尼子祥一組(DL WPMS GRヤリス)と、最優秀女性ドライバーとなった及川紗利亜/山本磨美組(DL WPMS GRヤリスDAT)

■長尾綱也(MCC1位/最多SSトップタイム賞)
「MCC初優勝、本当にうれしいです。結果を残せたことで、安堵も感じています。ラリー・カムイは轍が厳しいという印象があったので、それに対応できるよう、ラリーカーのセットアップを進めてきました。初日はそのセッティングが路面と合わず、思うようにタイムを伸ばすことができませんでした。それでも首位に立てたことで、ポジティブに気持ちを切り替えることができました。今回、轍での走らせ方や、自分の限界を越えることなく、良いペースをキープできたことに成長を感じています」

■三枝聖弥(MCC2位)
「自分自身の内容としては、あまり良くありませんでしたが、結果として2位を得られたことは評価しています。これまで我慢ができず、無理をしてしまう傾向があることに悩んできました。今回はライバルの脱落があったとはいえ、しっかりと我慢をしながら、最後まで走り切ることができました。もちろん良かったところだけでなく、反省点もいろいろありましたが、それをしっかり見直して次のラリー北海道に挑みたいです」

■奥井優介(MCC3位)
「本当にいろいろなことが起こったラリーでしたが、まずは完走できて良かったです。グラベルラリーを走るのは今回が3回目でしたが、不安定なコンディションのなかでしっかりとマイレージを積み上げることができました。今後に向けてすごく大きな糧になると感じています。ただ、2位が獲得できなかったことに悔しさが残りました。轍ができた路面における走行は課題ですし、ペースノート作りも含めて、ラリー北海道までに改善点を探っていきたいです」

■及川紗利亜(MCC4位/最優秀女性ドライバー賞)
「初めて『最優秀女性ドライバー賞』を獲得することができました。運の良さもありましたが、この厳しいサバイバルラリーを生き残ることができたことが、この結果につながったと考えています。飛鳥や久万高原をスキップし、ラリー・カムイに向けて練習を繰り返してきました。また、陸別で行われたMCCのトレーニングでは、講師の先生からペースノートに関する指摘をいただきました。自分としても、そこで改善できたことが、すごく大きかったと感じています。ただ、轍の処理やスピードの乗せ方など、課題も見つかりました。ラリー北海道に向けて、ひとつひとつクリアにしていきたいです」

■平川真子(MCC5位)
「初日のSS3でアクシデントがあり、さまざまな人に迷惑をかけてしまいました。ラリー中は、眞貝監督やチームの皆さんとドライビングやセッティングに関する話し合いを繰り返したことで、多くの気づきも得られたと感じています。今回は側溝に何度か落ちかけるシーンもありましたが、タフなラリー北海道に向けて、生き残ることの大切さを学ぶことができました。また、ラリー前に行われたMCCのトレーニングではいろいろな走らせ方を体験することができ、それが活きた部分もあると思います」

■米林慶晃(MCC6位)
「今回、ラリー・カムイを初めて走りました。初日にコースオフをしてしまったことが一番の反省点です。グラベルとターマック(舗装)が組み合わされた難しいSSでしたが、どこで抑えて、どこでプッシュすべきなのか、いろいろと学ぶことができました。グラベルラリーにおけるペースノートの作り方にも課題を感じています。僕自身、グラベルラリーでの経験が圧倒的に足りていないため、引き出しの少なさを実感しました。レッキで走った路面が、実際のラリーではどう変わるのか、予測する能力を身につけたいです」

■全日本ラリー選手権第6戦ARKラリー・カムイ
MORIZO Challenge Cup最終結果

Pos.Driver&Co-DriverCarTime/Gap
1長尾綱也/尼子祥一DL WPMS GRヤリス1h24’33.3
2三枝聖弥/木村裕介IMSFDLGRヤリス初号機3’04.4
3奥井優介/藤田めぐみクスコGRG水戸けやき台DL・WMヤリス7’30.6
4及川紗利亜/山本磨美DL WPMS GRヤリスDAT10’05.7
5平川真子/冨本諒TGR-WRJ GR YARIS DAT14’08.6
6米林慶晃/菅野総一郎KTMS NRS GRヤリス31’48.0

本日のレースクイーン

早乙女るなさおとめるな
2026年 / スーパーGT
レーシングミクサポーターズ
  • auto sport ch by autosport web

    20歳でスーパーGTの最高峰に挑む“新人”小林利徠斗に迫った『FORMATION LAP』2026年第1弾が6月5日に公開

    ふつうとちょっとズレてる──20歳で最高峰に挑む新人ドライバー【FORMATION LAP Produced by auto sport】2026 Episode 1

  • auto sport

    auto sport 2026年8月号 No.1622

    [特集]│多│角│検│証│
    なぜ、日本人はF1で勝てないのか?
    いつか夢を実現するために過去から学ぶ

  • asweb shop

    F速 Premium Vol.3
    角田裕毅 現在・過去・未来

    2,100円