「我々は物事を変えなくてはならないことを理解しているが、電気やハイブリッドに向け盲目的に急ぐ必要があるのだろうか?」と、その上級チームスタッフ。

「例えば現状の技術規定のもとでも、リエゾン区間(一般公道での移動区間)での走行時にはシリンダーカッティング(気筒休止機構)を用いて4気筒のうちのいくつかを停止させるなど、今すぐにでも対応可能なことがあるはずなんだ」

「だからこそジュネーブでの会合はとても興味深く、意義のあるものになるだろう。WRCの将来を形作るのに役立つものになるといいね」

 FIAでラリー部会のディレクターを務めるイブ・マトンは、今週の会合を前に「我々はマニュファクチャラーとともにWRカーの中長期的進化について緊密に連携している」と事態の進展に向け期待を語った。

「現時点で成果を語るのは時期尚早だが、将来の変化に向けても、マーケティング目標を考慮することが必要になってくる」と説明するマトン。

 フォード系のトップチームとして長年WRC活動を続けるMスポーツは、すでにR5規定に沿ったフィエスタをベースに電動車両の開発に着手していると言われており、マルコム・ウィルソン代表も「これはモータースポーツにおける次の技術へのステップになる」と、その存在を認めている。

「ただし、その技術的詳細を明らかにするつもりはない。我々とビジョンを共有し、NDA(非開示契約)に署名した他の企業と協力しているため、具体性のある話をするわけにはいかないんだ」とウィルソン。

「でも、これは現状のWRCに向けた車両ではない。四輪駆動ながら、もっと1日で競技が終わるような地域イベントに向け、車両コストを大幅に上げることなく成立するものを目指している」

 その他、Mスポーツの競合企業であるプロドライブも電動車両の開発に取り組んでおり、元WRCドライバー、マンフレッド・ストール率いるSTARD(スタード)も、電動車両の開発進捗を公開している。

「まだフルEVでWRCを戦う環境ではない」と、シングルイベント向けのEVラリーカーを開発するMスポーツ

ラリークロスのフィエスタEvo.3やキア・シードTCRを手掛けるSTARDは、フルEVラリーカーのスタディを製作

英国では「Project eRally」の名称でルノーのZOEベースでのワンメイクEVラリーカーの開発も進んでいる

すべてを電気にするのではなく、eターボのような解決策も検討される予定という

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