トクスポートWRTのファビアで、2019年シーズンのERC1タイトル争いを牽引してきたイングラムは、地元チェコの自動車連盟からバックアップを受けるACCRチェコ・ラリーチームのマレシュと、ステージごとにポジションを入れ替える激しいタイムバトルを展開。

 このクラス最終戦でERC1タイトルを確定させれば、プロモーターのユーロスポーツ・イベントから10万ユーロ(約1180万円)のプライズが贈られるとともに、残る2019年シーズン2戦(キプロス、ハンガリー)への出場権も与えられるため、イングラムはレグ1最終のナイトステージでコペッキーさえも凌駕するベストタイムをマークしてみせた。

「素晴らしい1日になったね、中盤には昨年クラッシュしたステージがあり、心理的にフラットアウトで行けずポジションを譲ったけれど、夜はいつも速さを発揮できるんだ」と、サービスに戻って満足げに振り返ったイングラム。

 明けたレグ2も、首位コペッキーの背後ではこのふたりの熾烈なマッチレースが繰り広げられる。午後のループ最初のSS13でハンドリングに不満を覚えたイングラムは、マレシュに3秒遅れてポジションを入れ替えると、続くSS14ではチェコ人のライバルを打ち負かし、0.3秒差でERC1クラス首位を取り戻す一進一退の攻防を見せる。

 そして最終24.88kmのSS15。13分47秒9でフライングフィニッシュを通過したイングラムに対し、ライバルの地元マレシュは13分47秒0をマークして、わずか0.3秒の逆転劇で総合2位、ERC1クラス優勝を達成。これにより、マレシュが2019年ERC1チャンピオンを獲得する劇的な結末となった。

「まさか自分がERC1のタイトルを獲得できたなんて信じられない気分だ」と、地元での戴冠を喜んだマレシュ。

「このラリーが終わると同時に、僕自身のシーズンが終了していた可能性もあったわけだからね。次の2ラウンドも戦えるのは本当にありがたい。そして緊迫したバトルを展開したクリス(イングラム)や、僕のキャリアを支援してくれるチェコ共和国連邦、素晴らしいマシンを用意してくれたクレスタ・レーシングにもお礼を言いたい」

 これでラリーはコペッキーがバウム・ラリー5連勝となるイベント通算8勝目。そして、残念ながらスタンディングをリードしながらERC1タイトル獲得を逃したイングラムは、総合3位獲得により日曜午前にリタイヤしたウカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)を逆転し、1ポイント差で選手権総合首位に立っている。

 続く2019年ERCシーズン第7戦キプロス・ラリーは、9月27~29日の週末に開催。ラフグラベルと山岳を舞台とするステージでは、マシンへの高い負荷を考慮したクレバーな戦い方が要求される。

レグ2も続いたシーソーゲームは、最終SSでイングラムがわずかに逆転を許す結末に
総合2位、ERC1クラス優勝を飾ったマレシュが、2019年のERCジュニアタイトルを手にした
ERC3クラスも優勝者に技術違反が発覚し、ラリー後の再逆転でエフレン・ヤレーナが王座獲得

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