約1カ月の短いシーズンオフを経て、まもなくWRCの2021年シーズンが始まる。開幕戦は伝統の『ラリー・モンテカルロ』。フレンチアルプスを主舞台とするターマックラリーだ。

 110周年記念大会となる今年は1月21日にフランスのギャップをスタートし、24日にモナコでフィニッシュ。コロナ禍により無観客開催となり、SSは15本計279.88kmと、モンテカルロ史上もっとも短い競技区間での戦いに。

 また、フランス国内で施行中の夜間外出禁止措置により、名物のナイトSSも行なわれないなど、例年とは様相がかなり異なる。

 そのイレギュラーな今年のモンテで注目すべきは、WRカーのタイヤがピレリのワンメイクになることだ。

 2020年まではほぼミシュランのワンメイクだったが、今季からはピレリがコントロールタイヤを供給。そのため、各チームともミシュラン時代に蓄積したデータがまったく使えなくなり、タイヤに関する経験値がリセットされる。

 モンテはターマック用、ウエットターマック用、雪道用のスタッドタイヤおよびスタッドレスタイヤなど、タイヤの種類が非常に多い。

『タイヤギャンブル・ラリー』と言われるほど、タイヤ選択が難しいイベントだけに、ピレリにシフトする今回は例年以上にタイヤ選びが勝負のカギを握ることになるだろう。

 セバスチャン・オジエのラスト・モンテカルロも見逃せない。引退を1年延ばし、今季もトヨタで戦うことになったオジエは、2014年から2019年までモンテを6連覇していた。

 しかし、トヨタ移籍後の初戦だった2020年はヒュンダイのティエリー・ヌービルが勝ち、連勝記録がストップ。それだけに、最後の出場となるであろう今大会では積極的に優勝を狙ってくるはずだ。

 トヨタのドライバーラインアップは2020年と変わらず、今年全戦にヤリスWRCで出場することになった勝田貴元の活躍にも期待がかかる。

 2020年のモンテでは、ヤリスWRCでキャリアベストの総合7位に入った。また、最終戦ラリー・モンツァでは最終ステージで初のSSベストタイムを刻むなど、いま貴元はノリにノッている。

 メインチームの選手ではないため充分なテストを行なえないまま本番に臨むことにはなるが、トリッキーなラリーだけに、ミスのない走りを続ければ2020年以上の結果を残すことも可能だ。彼の走りにもぜひ注目したい。

J SPORTSのWRC中継やオートスポーツ本誌でもおなじみのモータージャーナリスト/フォトグラファー。WRCを中心にWEC、スーパーフォーミュラなども精力的にカバーしている。
J SPORTSのWRC中継やオートスポーツ本誌でもおなじみのモータージャーナリスト/フォトグラファー。WRCを中心にWEC、スーパーフォーミュラなども精力的にカバーしている

■J SPORTS 2021年WRC第1戦モンテカルロ放送/配信スケジュール

autosport 2021年1月28日号 No.1545
autosport No.1545(PDFファイルが開きます)

autosport 2021年1月28日号 No.1545より転載

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