レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2021.01.28 07:00
更新日: 2021.01.28 23:11

異次元の対応力で他を圧倒。“冬山の王”オジエとヤリスWRCのシンクロ率は100%へ/WRCモンテカルロ

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ラリー/WRC | 異次元の対応力で他を圧倒。“冬山の王”オジエとヤリスWRCのシンクロ率は100%へ/WRCモンテカルロ

 ただし、不安要素がなかったわけではない。今年からタイヤがミシュランからピレリに変更となったが、そのテストを充分に行うことはできなかった。また、直前の重要なテストでは大クラッシュを演じ、テストメニューをこなせなかっただけでなく、コドライバーのジュリアン・イングラシアが負傷するなど、不安を残してのモンテカルロ出場となっていた。

 しかし、ラリーが始まってみればブレーキの不具合でタイムを失った序盤の2本、出走順が後方となり、前走車によってアイスバーンがさらにツルツルに磨かれたステージ以外では、全盛期に見劣りしない速さを発揮した。今大会は全部で14本のSSが設定されていたが、オジエはその半分以上にあたる8本でベストタイムを記録。遅れてもすぐに次のSSで取り戻す底力を何度も発揮した。比較すれば、今回はエバンスのほうが消極的であり、彼は「セブには太刀打ちできなかった」と素直に負けを認めていた。

 対するヒュンダイ勢はどうだったのだろうか? まず、昨年の勝者ヌービルは、直前になって長年ともに戦ってきたベテランのコドライバーと関係を解消。若手と組むという大胆な決断を下した。実際、新ペアのコンビネーションが機能するまでにはやや時間がかかり、彼は大きく後れた。昨年のモンテカルロで宙を舞う大クラッシュを演じたオット・タナクはスピードがイマイチだったうえに、大事な局面でタイヤを2本パンク。スペアタイヤを使い切り、リタイアに終わった。

 今季開幕前の本誌でのプレビューで、タナクとヒュンダイi20クーペWRCの相性はあまり良くないのではないかと予想したが、今回もタナクはミスが多く、トヨタ時代のような盤石さは感じられなかった。そして、スポット参戦の3台目、ダニ・ソルドも序盤はまったく速さがなく、早々に優勝争いから脱落。見せ場を作ることなく、何とか総合5位でラリーを終えた。

 さらに厳しい戦いとなってしまったのはMスポーツ・フォードで、スポット出場ながらチーム内でもっとも速さがあるテーム・スニネンがいきなりSS1でクラッシュ&リタイアに。残ったもう1台を駆るガス・グリーンスミスはまだまだ成長過程にあるドライバーであり、総合8位に入るのがやっとだった。

 以上のように、今年のモンテカルロではトヨタ勢、とくにオジエの速さが抜きん出ていて、実質的にライバルはいなかった。オジエの勢いがどこまで続くのか。次戦は急きょカレンダーに加わったスノーイベントの『アークティック・ラリー・フィンランド』。

 昨年、スノーラリーでオジエはチームメイトふたりの後塵を拝したが、もしスノーラリーでもオジエが速ければ、彼とヤリスWRCのシンクロ率は100%に近づいたと言える。雪煙の向こうには8回目の、そして最後の王座がくっきりと見えてくるかもしれない。

今季は若手コドライバーとコンビを組むティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
今季は若手コドライバーとコンビを組むティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
厳しい戦いとなってしまったMスポーツ・フォード
厳しい戦いとなってしまったMスポーツ・フォード


関連のニュース