「私の場合、精神的な面で誰かの助けを借りることは、基本的に『メンタルが弱い』と言われると感じていたんだ」とラトバラ。
「しかしそれは違う。己が弱いという意味ではないんだ」と彼続けた。
「物がよく見えなれければ眼鏡を掛ける。視力は眼鏡で矯正できるのだから、目が悪いから弱いということにはならないはずだ。(メンタルヘルスも同じように)その領域を矯正して微調整をすることで精神的に強くなり、結果的に自分自身を高めることになるんだ」
「私はキャリアの終わりにメンタルコーチと一緒に仕事をしてきた。そこで理解したのは世界チャンピオンであろかどうかにかかわらず、自分自身が人として変わらないということだ」
「それは私たちが達成したいラリーの中の何かで、スポーツから得たいものだ。私たちはそれが人として自分たちを変えるものだと思っている」
「だが、それはその人のパーソナリティを変えることはしない。ましてや人間として変わるわけでもない」
「もちろん、個人的には非常に特別な何かを手に入れ、世界チャンピオンだから特別だと思うかもしれないが、人の中身は変わらない。その人のままなんだ」
ラトバラのドライバーからチームプリンシパルへの転向は誰にとっても予想外だったが、結果的にこれ以上ないほどの成功を収めた。彼が指揮したTOYOTA GAZOO Racing WRTは、ラトバラの就任1年目にしてドライバー選手権とコドライバー選手権に加え、マニュファクチャラー選手権でもタイトルを獲得し日本メーカーに1994年以来、27年ぶりとなる“トリプルチャンピオン”をもたらしている。
