そのラリー・モンテカルロは1911年に初開催されたラリーで、WRCでもっとも長い歴史を誇るイベントだ。同ラリーは基本的にはフレンチアルプスを舞台とするターマック(舗装路)ラリーだが、山間部のステージには降雪路面や凍結路面もあり、天気に大きく左右される非常に難しいイベントとして知られている。そのため、新設計のクルマで戦いに臨む選手たちにとって、2022年のモンテカルロは例年以上に大きなチャレンジとなることが予想される。

 また、今年はラリーの中心がフランス南部のギャップからモナコへと移ったこともその要因となりえる。2021年大会と比較すると実に約85%が新しいステージとなっているのだ。

「ラリーの新しい時代が始まる瞬間は、とてもエキサイティングだ。まだ分からないことが多くあるが、ラリー・モンテカルロではその答えがいくつか出るだろう」と語るのは昨年、TOYOTA GAZOO Racing WRTをトリプルチャンピオンに導いたヤリ-マティ・ラトバラ代表。

「我々はチームとして一生懸命準備をしてきたが、それぞれのクルマにどのような違いがあるのかは、最初のラリーまで誰にも分からない」

「また、どのドライバーが新しいクルマに一番自信を持っているのか、誰が自信を持ちきれていないのか、その違いが見えるかもしれない。ドライビングやセットアップの方法など、多くの変化にドライバーは適応しなくてはならないんだ」

「我々のテストでは、ドライバーが自信を持ち、気持ちよく運転できるようにすることがもっとも重要だったと思う。ドライバーにとって、モンテカルロはチャンピオンシップの中でもっとも難しいラリーであり、路面コンディションにも大きく左右される」

「クルマのパワーは増えたが、それを雪や凍結したコンディションでどのように使うのか? そして何よりも、サービスパークがギャップからモナコに移動することで新しいステージが増えるなど、未知なる部分が多いため、とてもエキサイティングなラリーになるだろう」

 2022年のラリー・モンテカルロは、20日(木)の午前中に行われるシェイクダウンを経てモナコのカジノ広場でのセレモニアルスタートで開幕する。その日の夜にチュリニ峠を通るルートを含む計2本のステージが実施されて初日が終了。競技2日目はモナコの北西エリアに広がるフランスの山岳地帯で3本のステージを各2回走行するが、この間にチームメカニックがクルマの修理やセッティング変更などを行うサービスの時間は設けられていない。

 22日(土)は前日と同様に、日中のサービスを挟まずに5つのSSで戦いが繰り広げられ、最終日の23日(日)はアントルヴォーの周辺で2本のステージを各2回走行する。最終SS17はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与される“パワーステージ”だ。17本のSS合計距離は296.03km、リエゾン(移動区間)も含む総走行距離は1511.47kmとなっている。

ラリー1規定ではエアロパーツの簡素化が図られたため、従来のWRカーと比較して外観はおとなしめとなっている
ラリー1規定ではエアロパーツの簡素化が図られたため、従来のWRカーと比較して外観はおとなしめとなっている
トヨタGRヤリス・ラリー1(フロント&サイド)
トヨタGRヤリス・ラリー1(フロント&サイド)
縦型のサイドミラーが採用されたトヨタGRヤリス・ラリー1。ライバルのヒュンダイ、Mスポーツ・フォードの新型車両は従来どおり横型だ
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