ラリー1規定2年目のシーズンを戦っていく各チームの布陣は下の表のとおりだ。昨年、22歳と1日でWRC史上最年少チャンピオンとなったカッレ・ロバンペラを擁すTOYOTA GAZOO Racing WRTは、若き“フライング・フィン”とエルフィン・エバンスが引き続きフル参戦する一方、シリーズ8冠王者のセバスチャン・オジエと3台目のマシンをシェアするドライバーに、日本の勝田貴元が抜擢された。
2022年はサテライトチームのTOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから全戦に出場してシリーズランキング5位となった勝田。今年ワークスチームの一員となった彼は、オジエが出場しないラウンドで3台目のGRヤリス・ラリー1をドライブする。また、オジエが参加する場合は4台目のマシンでラリーに参戦することでシーズン全ラウンドに出場予定だ。
■トヨタ、ヒョンデ、Mスポーツの2023年ドライバーライナップ
| No. | Team | Car | Driver&Co-Driver | 2022 Ranking |
|---|---|---|---|---|
| 69 | TOYOTA GAZOO Racing WRT | トヨタGRヤリス・ラリー1 | カッレ・ロバンペラ ヨンネ・ハルットゥネン |
1位 |
| 33 | TOYOTA GAZOO Racing WRT | トヨタGRヤリス・ラリー1 | エルフィン・エバンス スコット・マーティン |
4位 |
| 18 ※ | TOYOTA GAZOO Racing WRT | トヨタGRヤリス・ラリー1 | 勝田貴元 アーロン・ジョンストン |
5位 |
| 17 ※ | TOYOTA GAZOO Racing WRT | トヨタGRヤリス・ラリー1 | セバスチャン・オジエ ヴァンサン・ランデ |
6位 |
| 8 | Mスポーツ・フォードWRT | フォード・プーマ・ラリー1 | オット・タナク マルティン・ヤルヴェオヤ |
2位 |
| 7 | Mスポーツ・フォードWRT | フォード・プーマ・ラリー1 | ピエール-ルイ・ルーベ ニコラス・ギルソウル |
13位 |
| 11 | ヒョンデ・シェル・モビスWRT | ヒョンデi20 Nラリー1 | ティエリー・ヌービル マルティン・ウィダグ |
3位 |
| 6 ※ | ヒョンデ・シェル・モビスWRT | ヒョンデi20 Nラリー1 | ダニ・ソルド カンディード・カレラ |
8位 |
| 4 ※ | ヒョンデ・シェル・モビスWRT | ヒョンデi20 Nラリー1 | エサペッカ・ラッピ ヤンネ・フェルム |
9位 |
※ サードカーをシェアして参戦
そのトヨタを離れたエサペッカ・ラッピは、フルシーズンシートを求めてヒョンデ・シェル・モビスWRTに移籍した。昨季はシーズン後半戦で強さを発揮し最終的に年間5勝を挙げたヒョンデ陣営は、ラッピとチームのエースであるティエリー・ヌービルをフル参戦させ、ベテランのダニ・ソルドと古巣復帰のクレイグ・ブリーンが3台目のi20 Nラリー1をシェアするかたちで2023年シーズンを戦っていく。
ブリーンがエースとして2022年シーズンを戦ったMスポーツ・フォードWRTは、2019年王者のオット・タナクを招聘。セミワークスであるイギリスの名門チームは、タナクのチームメイトに自身初のWRCフル参戦を果たすピエール-ルイ・ルーベを起用し“少数精鋭”の2台体制で打倒ワークスに打って出る。
なお、同チームから参戦した2022年開幕戦モンテカルロで優勝した元9連覇王者セバスチャン・ローブが、ふたたびMスポーツからWRCラウンドに出場する可能性があるとされているが、現在のところ正式な発表は行われていない。
■王者トヨタが狙うはドライバー選手権5連覇とマニュファクチャラー選手権3連覇
気になるドライバーズチャンピオン争いは、開幕戦でレギュラー組最上位の総合2位となった現王者ロバンペラに対し、チームメイトのエバンスと、昨季2勝を挙げたヌービルがどこまで迫れるかがポイントに。また、第2戦スウェーデンで移籍後初優勝を決めた2019年王者タナクの存在も忘れてはいけない。
一方、マニュファクチャラー選手権はMスポーツが2台体制であることを考えると、2023年もトヨタとヒョンデによる一騎打ちになるものと予想される。
第1戦ではトヨタがスピードと強さでライバルを圧倒したが、まだ序盤も序盤。昨年は序盤戦にマシンの信頼性に苦しんだヒョンデが、今季のモンテカルロでは表彰台を獲得しているのを見ても分かるとおり、両者の戦いはより激しさを増すものと考えられる。事実、第2戦では形成が逆転。ヒョンデが2台を表彰台に送り込んだのに対してトヨタはポディウムを逃す結果となった。
ちなみに、仮に今季もトヨタドライバーがタイトルを獲得した場合、現在4連覇で並ぶフォルクスワーゲン(2013~16年)を抜き“絶対王政”を築いたローブ時代のシトロエン(2004~12年)以来、最初の選手権5連覇メーカーとなる。マニュファクチャラー選手権を制すとトヨタにとっては初の3連覇、こちらはフォルクスワーゲン以来の達成が期待される。


