船舶の研究を志し、大学では流体を学んだ。TOYOTA GAZOO Racing WECチームのパワートレインマネージャー、尾田真一は「もともとはそれほど熱狂的なモータースポーツファンではありませんでした」と告白する。トヨタに入社したのも、周波数分解や振動の知識を活かすことができそうな、市販車のディーゼルエンジンの開発に従事したかったから。しかし、彼が配属されたのはモータースポーツ部。人生の舵が大きく切られた。
「もちろんモータースポーツに興味はありましたが、正直なところ自分がやる側の人間になるとは思っていませんでした。しかし、個性的ですごい情熱を持ったモータースポーツ部の先輩方に鍛え上げられ(笑)、その楽しさを知りました」と尾田。語り口は極めてソフト、コンペティションの世界に多い、ワイルドな気性を隠さない面々とは印象が大きく異なる。
