10月5日、アルピーヌは将来のスポーツカーレース・プログラムについてアナウンスを行い、2024年からLMDhプラットフォームを用いてWEC世界耐久選手権の最高峰カテゴリーであるハイパーカークラスに参戦することを確認した。
現在行われている2021年シーズンのWECにおいて、特別に許可された旧式のLMP1ノンハイブリッドマシンで同クラスを戦っているアルピーヌ。1978年のル・マン24時間レースで勝利を挙げているフランスのブランドは、今年8月に行われた第89回大会でワン・ツー・フィニッシュを飾ったTOYOTA GAZOO Racingに次ぐ3位表彰台を獲得したのち、耐久レース・プログラムの継続を検討してきた。
アルピーヌのスポーツカープログラムについては、同メーカーがWECハイパーカークラスに参戦が可能なル・マン・ハイパーカー(LMH)規定、もしくはACOフランス西部自動車クラブとIMSAのコンバージェンス(収斂、収束の意)によって誕生したLMDh規定、そのどちらを選ぶにせよ、近年の成功をともにしたパートナーであるシグナテックとの提携によって実現すると目されていた。
果たしてそれは現実のものとなり、ルノー傘下のブランドは競争の激しいLMP2カテゴリーで2013年と翌14年にELMSヨーロピンアン・ル・マン・シリーズのタイトルを勝ち取り、WECでは2016年と19年の2シーズンで戴冠。さらにル・マンでは3度のクラス優勝を収めた組織と、今度は次世代規定であるLMDhの分野でふたたび手を取り合うことになった。
また、アルピーヌは2013年以降のスポーツカーレースで一貫して使用し続けてきたシャシービルダー、オレカとのパートナーシップを継続することを発表。同じくフランスのメーカーであるオレカのLMP2シャシーをベースに設計する2台のマシンには、ビリー-シャティヨンで開発されたアルピーヌ製エンジンが搭載される。なお、このパワーユニットは彼らがF1で培った専門知識の恩恵を受けることになるという。
アルピーヌF1チームとの関連性は、ベースのLMP2カーから規定で許された範囲内で自由に変更できるボディワークの設計にも及び、モータースポーツの中心的な要素である空力に関するエンストンの専門知識が生かされることで、ここでもF1チームとのシナジー効果を得ることが可能となる。