更新日: 2023.03.28 12:01
D’station Racing 2023 WEC世界耐久選手権第1戦セブリング レースレポート
D’station Racing
Race Report – 2023.3.27
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2023 FIA World Endurance Championship
Round 1 1000miles of Sebring (USA)
MAR. 15 – 17 Qualify :9th / Race:10th
3年目のWECで進化を実感も、戦略が噛み合わない開幕戦に
2021年からFIA WEC世界耐久選手権に挑戦を開始したD’station Racingにとって、3年目となるシーズンが始まった。今季も開幕の舞台は、アメリカはフロリダ州にある、セブリング・インターナショナル・レースウェイ。非常にバンピーですべてのドライバーにとって難しいコースだ。
D’station Racingは新シーズンに向けて星野敏と藤井誠暢、さらに若きキャスパー・スティーブンソンを加え、新たな体制で臨んだ。3月11〜12日には、セブリングを舞台に恒例のシーズン前テストである『プロローグ』が行われ、3人のドライバーが精力的に周回。特にスティーブンソンには持ち前のスピード、さらに順応力を感じさせ、早くもチームに好印象をもたらした。
今回はIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のセブリング12時間と併催であることから金曜が第1戦の決勝レース。プロローグから中2日を経て3月15日(水)にレースウイーク初日を迎えた。午前のフリープラクティス1では藤井から走行を開始し、星野、スティーブンソンに交代しながら周回。まずは1分59秒603というベストタイムで11番手につける。続くフリープラクティス2ではスティーブンソン、さらに星野と交代。夕焼けのなか1分59秒156までタイムを縮め、3番手につけレースウイーク初日を終えた。
明けて3月16日(木)の走行2日目は、まずは1時間のフリープラクティス3が行われた。ここでは、星野がひとり周回を重ね6周目に2分00秒880というベストタイムを記録。現地時間18時30分からの予選に臨んだ。
ここでアタッカーを務めた星野は2分02秒台から01秒台と少しずつタイムアップ。すると5周目、2分00秒941というベストタイムを記録。今季14台というエントリーを集めるLM-GTE Amクラスのうち9番手という位置につけた。初めてセブリングに臨んだときには、今まで体験したことがない路面に恐怖を覚えていた星野だったが、この好タイムは大きな進歩を感じさせた。
いよいよ迎えた3月17日(金)の決勝は、1000マイル=8時間という長丁場。D’station Racingは今回も昨年に続き藤井をスタートドライバーに据え、9番手からレースに臨んだ。タイトで抜きづらいセブリングだが、藤井は持ち前のテクニックで1台、また1台とオーバーテイク。昨年何度もみせてくれたように順位を上げていく。
ただスタートから10分が経とうというころ、LM-GTE Am車両のストップによりセーフティカーが導入された。ここで複数車両がピットインを行うが、D’station Racingは戦略上コース上にステイ。藤井はトップに浮上することになった。ただ、このタイミングでの戦略の違いが、後々響いてしまうこととなった。
プロローグからアストンマーティン勢は性能調整によりペースがやや苦しいものではあったが、藤井はコンスタントに周回を重ねると、30周を終えてピットイン。星野に交代する。セブリングでの戦いにもすっかり慣れた星野も順調にレースを進め、表彰台圏内を走り続けた。
その後もD’station RacingはWECでの初レースとなったスティーブンソン、さらにふたたび星野、藤井、スティーブンソンと繋ぎながら長丁場のレースを進めていくが、やはり全体的にペースが厳しく、さらに序盤のセーフティカーランの時の戦略のズレから、なかなかポジションを上げることができないままレースは終盤まで進んでいってしまう。最終的に217周を走り、D’station Racingの開幕戦の順位は10位となった。
最終的にスピードと戦略で結果には繋がらなかったものの、非常に難しいセブリングで星野、そしてWEC初レースだったスティーブンソンがしっかりと周回をこなし、チーム全体がノーミスで8時間を戦いきったことは、D’station Racingにとっては非常に大きな収穫となった。次戦の舞台は、ヨーロッパに戻りポルティマオで迎える。今回のレースの経験が、きっと活きてくるはずだ。
COMMENTS:
Driver:Satoshi HOSHINO
リザルトとしては10位という結果で、決して満足いくものではありませんでしたが、個人的にはこの難しいセブリングというサーキットで、ノーミスで走ることができたのは良かったです。決勝レースについては、ミスがあったわけではないにしろ、我々にとってはまったく戦略が良い方向にいきませんでした。そのため上位進出はできませんでしたが、8時間の長いレースのうち自分自身は2時間を走り、トレーニングの成果もあって体力面でも問題はありませんでした。今シーズンのWECはこの後ポルティマオ、スパ、そして100周年のル・マン24時間と続きますが、自身のトレーニングなど、しっかりと頑張っていきたいと思っています。応援ありがとうございました。
Driver:Tomonobu FUJII
プロローグからフリープラクティス、予選とアストンマーティン勢にとっては少し苦しい展開となりましたが、そんななかで予選では星野選手が素晴らしい走りで9番手を獲得してくれました。このセブリングは抜きづらいコースでしたが、レース序盤から順位を上げることができました。ただ、アクシデントがありセーフティカーランとなったとき、ステイアウトを選択したことで戦略として苦しくなってしまいました。ペースは良く、ドライバー3人ともノーミスで8時間という長いレースを走り切り、しっかりと完走できたことは今季開幕戦としては良い内容になったのではないでしょうか。次戦はポルティマオですが、良いレースができるよう、1ヶ月をかけて準備していきたいですね。
Driver:Casper STEVENSON
今季D’station Racingに加わることができ、嬉しく思うよ。その開幕戦となったセブリングでしっかりとレースを走りきり10位でフィニッシュできたことは、まずは良いポイントだったと思う。そんなレースで、自分は非常に長い時間をドライブする機会をもらったけれど、レースをエンジョイすることができたよ。すごく良い経験を積むことができたと思う。残念ながら戦略は僕たちに味方しなかったし、クルマの速さは今回あまりなかったけれど、ノーミスでレースを終えることができたのは素晴らしいことだったと思うし、今シーズンのこれからのレースに向けて良い材料になった。次戦以降ポルティマオ、スパ、ル・マンと続くけれど、トップ5を目指していきたいね。
Team Director:Tom FERRIER
まずはD’station Racingとして3年目のWEC世界耐久選手権の開幕戦を迎えることができ、非常に嬉しく思っている。そして今回のレース自体は非常に苦しいものではあったが、セブリングという難しいコースを舞台に、しっかりとレースをフィニッシュすることでき、幸先が良い開幕戦になったのでないだろうか。ドライバーたちは3人とも本当に頑張ってくれたが、今回のレースは戦略がうまくいかなかった。次戦のポルティマオまで約1ヶ月あるが、アメリカからクルマが戻ってきたらしっかりと準備をして、第2戦で良い結果が残せるよう、チーム一丸となってしっかりと準備を進めていきたいと思っている。
Chief Engineer:Jonathan LYNN
2023年の開幕戦を終えたが、プロローグに続いて、我々アストンマーティン勢にとっては苦しい結果となってしまった。レースストラテジーについて言うと、序盤のセーフティカーの時間が長かったことにより、我々にとっては悪い方向にいってしまった。その後のFCYのタイミングも含めてトータルで戦略が機能せず、残念に思っている。セットアップは良好で、ドライバーも良いアベレージラップで走ることができていたが、アストンマーティン勢の性能調整も含めて、今回は結果に結びつけることができなかった。しかしこの先、我々にチャンスが来るときがあるはずなので、しっかりと準備を整えるべく、ハードワークを続けていきたいと思う。