するとここでグスタボ・メネゼスの94号車プジョー9X8が突如速さを発揮。ポルシェ勢と51号車をかわし、この時点での2番手にまで浮上する。さらにポルシェコーナーの雨は強くなり、ワーケンホルスト・モータースポーツの100号車フェラーリがサンドトラップに埋まってしまう。
さらにポルシェコーナー入口では、チームWRT31号車、709号車グリッケンハウス、3号車キャデラック、GRレーシング86号車ポルシェ911らが次々と水に乗ってスピンを喫し、一時極めて危険な状態となり、前後して2時間53分が経過したところでSCが導入された。なお、リシャール・ミル・AFコルセ83号車フェラーリのリル・ワドゥも高速でバリアにヒット。ワドゥは自力でマシンから降りているとのことだ。
SC中、暫定首位の50号車はステイアウト、51号車もステイアウトしワン・ツーとなるが、そのうしろの94、38、75、5号車はピットへ飛び込みレインタイヤへと交換。フェラーリ2台以外でも、トヨタ2台、6号車ポルシェ、2号車キャデラックはスリックタイヤのままステイアウトを選択する。
しかしスリック勢はSC隊列に追いつくこともままならいほどのスローペースでしか走行できず、次の周にたまらずピットへ。これにより、94号車プジョーがトップに立つこととなった。
このあと雨は次第に上がり、路面が徐々に乾いていくなかで、3台のSCランは長時間続いた。今回の新ルールにより、SCが1台に統合されるまでは、ピットレーンはオープンのままとなるが、3時間40分経過を前に、スリックへとタイヤを戻す陣営が現れ始める。
このタイミングでピットレーンがクローズ、SC隊列は1台に統合されることとなった。パスアラウンドとドロップバックをすませ、レース再開は4時間18分経過時点。ユノディエールなど一部はハーフウエット、他はほぼドライといったコンディションだ。再開されると、6号車ポルシェ、7号車トヨタ、8号車トヨタはピットへ向かい、翌周には94号車プジョー、75号車ポルシェらもピットイン。これで暫定首位はハーツ・チーム・JOTA38号車ポルシェのものとなった。コース上ではフェラーリ2台、ポルシェ勢による激しい接近戦が繰り広げられた。
■トップ快走のハーツ・チーム・JOTAに悲劇
4時間30分すぎ、ケビン・エストーレのドライブする6号車ポルシェが右リヤタイヤを破損、スローペースでピットへと戻ってくる。先のスローパンクチャーも右リヤとの情報があり、何らかの問題を抱えているのかもしれない。
ミディアムタイヤを履く38号車ポルシェは、ソフトタイヤを履く後続の2台のフェラーリとの差をじりじり広げていく。4番手をゆく5号車ポルシェには、SC時の追い抜きがあったとしてドライブスルーペナルティが科せられた。
その直後の4時間52分、快調にトップを飛ばしていたイーフェイ・イェの38号車ポルシェが、ポルシェコーナーでコースアウトしタイヤバリアにクラッシュ。マシン左サイドとリヤを損傷し、ピットへと戻る。エンジンカウルも散乱したため、フルコースイエロー(FCY)が導入されることとなった。
これでフェラーリがテール・トゥ・ノーズ状態でワン・ツーとなり、FCYが解除され5時間が経過するところで2台をピット位置順へと入れ替え、50号車、51号車の順で同時にピット作業を行った。
また、ポルシェでは5号車にもトラブルが発生。センサーの不具合とスローパンクチャーによりユノディエールでスローダウンし、その後ピットへと向かった後、コースに復帰している。
5時間35分頃、フェラーリは51号車が前に出て総合トップに返り咲く。日没を迎え、6時間が経過した時点では51号車フェラーリが首位、75号車ポルシェが続く展開となっている。
全車がオレカ07・ギブソンのパッケージで争うLMP2クラスは、序盤からJOTAの28号車がリード。6時間経過時点での首位は、インターユーロポル・コンペティションの34号車となっている。
LMGTEアマクラスでは、JMWモータースポーツの66号車フェラーリ488 GTE Evoが首位、アイアン・デイムスの85号車ポルシェ、AFコルセ54号車フェラーリが続いている。
木村武史のケッセル・レーシング57号車フェラーリはクラス7番手、最後尾スタートとなったDステーション・レーシングの777号車(星野敏/キャスパー・スティーブンソン/藤井誠暢)はクラス9番手、ケッセル74号車はクラス13番手でレースを続けている。
すでに7台ものマシンが姿を消したル・マン。22時過ぎには再び雨がサーキットを襲い、これからの夜の時間帯にも波乱の予感が漂っている。
