そしてレースでは、可夢偉のピット作業ロスという要素がガスリーにはラッキーだった面もあるが、参戦4大会目(5レース目)にしてスーパーフォーミュラ初優勝を成し遂げた。
「素晴らしいレースだった。最高にハッピーだよ。チームにはとても感謝しているし、ホンダが素晴らしいエンジンアップデートをしてくれたおかげだとも感じている」
「開幕前のテストでは僕たちは好調だったけど、開幕してからはチームとしても悩むところがある展開だった」
「でも、みんなと一緒に懸命に頑張ってきて、今日ここで優勝という結果を出すことができた。本当に素晴らしいと思う。今後もこういうレースウイークを繰り返していけるようにしたい」
後半戦仕様へのエンジン切りかえがあった今回のレースに関して言うと、シーズン前半は少し旗色が良くなかったホンダがトヨタにほぼ追いついたといえそうな雰囲気もある。そういった要素もきっちり生かして、ガスリーは初優勝した。
2016年のGP2(現F2)王者にして次期F1レギュラー候補とも評される彼にとって、ある意味でのライバルは去年の新人ストフェル・バンドーン(当時DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だろう。
バンドーンは2016年に2勝して、2017年はマクラーレン・ホンダF1のレギュラーシートに収まった。しかし、彼は1レース制の250km戦では勝っていない(バンドーンは第5戦岡山のレース1と第7戦鈴鹿のレース2を制した)。
もちろん勝利の価値は一概に比較できないし、バンドーンの場合もガスリーの場合も、スーパーフォーミュラでの成績が翌年のシートに直結するという立場ではないわけだが、シーズン前半の苦戦でやや輝きを失いかけたガスリーは、これで一気に“成績面での印象点”をクリアしたともいえるだろう。
レース後、少々無理筋な質問であることを承知で「来季にとって意味をもつ勝利になるか?」と水を向けると、それはちょっと話が違うかな、というような表情を浮かべて笑いながらも、ガスリーは「いいタイミングで勝てたとは思う」と話した。そちらの面でも彼にいい流れが来ることを願いたい。
次のオートポリスも実戦は初だが、ガスリーはタイヤ開発テストで走行機会を得ており、まったくの初舞台ではない。
「テクニカルで速いコースだ。高速コーナーが多くて、僕の好きなタイプのコースでもある。でも、攻略が難しいコースだと思うね。今回のレースウイークで、こうするといい、こうすると良くない、というようなことの(セットアップ面の)理解も進んだので、オートポリスでも今回と同じようなペースでいきたい」
残り3大会、ふたたび強い輝きを放ちはじめたガスリーという原石にはこれまで以上に注目すべきようだ。
