ヨコハマのタイヤ開発陣を率いる秋山一郎エンジニアに聞いたところでも、それぞれのタイヤに特化した車両セッティングの詰めをすれば話は違ってくるかもしれないが、基本的にはタイヤを履きかえただけで前後バランスもいじらずに、という運用でのタイム差としては、やはりテスト後のドライバーとの討議から得た印象を含めて概ね1秒になるだろう、との旨であった。
ラップ1秒差を大きいとみるか、小さいとみるかは考え方と判断基準によって違ってくるが、僅差の攻防が常態化しているスーパーフォーミュラの予選においては“大差”ともいえよう。つまり、もてぎの予選においてはソフトが決定的な武器になり得る、ということだ。
現在のスーパーフォーミュラでは、ドライタイヤはレースウイークを通じて各車原則6セット使用可、うち新品が4セット、前戦からの持ち越しが2セットとなっており、今回のもてぎでは新品4セットがミディアム、ソフト各2セットとなる。Q1~Q2~Q3と続く戦いのなかでソフト新品をどう使うかが、予選での戦略攻防となってくるだろう。

そして決勝では「1度以上はタイヤ交換を行い、両スペックを必ず使用」ということがルールとしてに義務付けられる。ソフトのライフ面も気になるところになるが、富士テストでは多くの陣営が「ソフトという言葉の印象ほど極端に早い性能低下はなさそう」との感触を得たようだった。
