一貴は1のパーツ破損を挙げ、石浦は3の予選Q3の3コーナーのミスを悔やんだ。
取材を進めて分かったのが、一貴が壊してしまったパーツは、一貴とロッテラーにひとつずつしかないニューパーツで、今回はそのパーツありきでセットアップを進めていたのだということだ。具体的に何のパーツかは分からなかったが、おそらく足回り、ダンパー辺りだと推測される。一貴はそのパーツを失ったことでセットアップの組み立てを乱し、予選ではコンマ1秒差でロッテラーに敗れ、レースペースでも大きく遅れる結果になったと考えられる。
一方の石浦は、(3)の予選のミスを挙げた。たしかに、このミスがなければレースでさらに前のグリッドからスタートでき、前を抑えられることもなかっただろう。今回の石浦はスタート直後から山本、そしてピット後は一貴の後ろでひたすら付き合うようなレース展開となり、前が開けた状況で周回する機会はほぼ皆無だった。せっかくセットアップをまとめて速いクルマを作れたとしても、そのパフォーマンスを発揮できないままでは良いリザルトは残せない。レースでは「巡り合わせが悪かった」ことになるが、それを導いてしまったのが、予選Q3のミスだったということなのだ。
こうして振り返ると、レースで起きたあれこれの要因はすべて、レース前に伏線が引かれている。今のスーパーフォーミュラは非常にタイトなタイム差で競っているが、フリー走行や予選のワンミスがここまで大きくレースリザルトに響くのだということを、一貴と石浦の言葉で改めて認識させられた。