投稿日: 2021.09.01 16:40
更新日: 2021.09.01 16:51

ThreeBond Drago CORSE 2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ レースレポート


スーパーフォーミュラ | ThreeBond Drago CORSE 2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ レースレポート

2021 JAPANESE SUPER FORMULA CHAMPIONSHIP SERIES
ROUND.5 RACE REPORT
ツインリンクもてぎ

掴みかけたポイント

 2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第5戦が、8月28日(土)~29日(日)にかけて栃木県のツインリンクもてぎで開催された。

 日本国内の新型コロナウイルス感染拡大は依然として深刻な状況で、前週にル・マン24時間レースを終えたタチアナ・カルデロン選手は、今回もレースに間に合うタイミングでは入国することができず、残念ながらスーパーフォーミュラへの参加を断念、前回に引き続き塚越広大選手(以下、塚越選手)が代役を務めた。チームは今回、車両の前後に新しい仕様のダンパーを装備、それに合わせたセッティングをまとめてツインリンクもてぎへ持ち込んだ。

公式予選

 土曜日のフリー走行は午前8時40分から90分間の予定で始まった。真夏の太陽が照りつけ、気温、路面温度ともにこれまでにないレベルまで上がる猛暑の1日となった。チームはフリー走行の90分を使って塚越選手とともに新しいダンパーと持ち込みセッティングの確認を行ったところ、快調な走り出しとなり中団以上のタイムを記録し始めた。ところがセッション半ばでシフトチェンジに不具合が発生、ピットに戻って長時間にわたる修理を行わなければならなくなった。

 そのため当初予定したセッティングメニューをこなせないままセッションが終わってしまった。それでも塚越選手は出走19台中トップから0秒643差の9番手につけた。午後2時35分から公式予選が始まったが、そのころには雲が広がり、隙間から太陽が照りつけるものの午前よりは気温路温ともに低下した。

 10台で争い上位7台がQ2へ進出するQ1B組に出走した塚越選手は4番手につけてQ2へ進んだ。快調だった塚越選手は手応えを掴み、Q2突破を目指して午後3時22分からQ2B組セッションに臨んだ。しかしタイヤをウォームアップしてタイムアタックに入ろうと最終コーナーを立ち上がったところ、午前中のフリー走行同様シフトアップができないトラブルが発生。タイムアタックができないまま1周を走ってピットに戻らざるをえなかった。この結果、Q2突破はできず、塚越選手のスターティンググリッドは12番手に決定した。

2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)
2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)

決勝レース

 曇り空の下で午前9時から行われたフリー走行で決勝レースへ向けてのセッティングを確かめた塚越選手は、決勝向けセッティングのバランスに改善の余地を感じ2回にわたってピットに入り調整を行った。しかしチームはさらにバランスを改善できると考え、決勝レースのスターティンググリッド上でもセッティングを微調整し塚越選手をレースに送り出した。

 午後2時、薄く雲がかかる空の下でレースが始まった。これまでタチアナ選手、塚越選手ともスタート時のクラッチミートに問題を抱えてきたが、今回徹底的にクラッチのフィーリングを追求した結果、塚越選手は好スタートを切り、1コーナーから2コーナーでポジションをふたつ上げ10番手でレースを始めた。

 ところがオープニングラップのV字コーナーにさしかかったところ、前方で接触事故を起こした車両がコースを塞ぎ、塚越選手はコースのイン側へ逃げようとしたものの逃げ切れず、その車両に乗り上げてしまった。その衝撃でサスペンションを壊した車両は走行不能となってコース脇に停止、短いレースを終えることとなった。

2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)
2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)

■コメント
塚越広大

「決勝前日から全体として良い感触でしたが、どのセッションでも問題が起きてしまい結局結果が残せませんでした。決勝日午前中のフリー走行では、前日の予選に比較するとバランスが良くなかったのでエンジニアさんと話をして対応してもらいました」

「感触としては良くなりましたが、もう少しといったところでしたので、さらにスターティンググリッドでギリギリまで悩んで、あまり大幅な変更をするのもリスクがあると考え微調整をしてもらいました。去年から決勝スタートが課題でしたが、今回は課題をクリアできて良いスタートが切れました」

「でもうまくオープニングラップで順位を上げられた矢先にアクシデントに巻き込まれてしまいました。最終的に行き着いたセッティングがどんな感触だったのかレースを通して確かめたかったので残念です」

道上龍監督

「今回はクルマに施したことがほぼすべて良い方向に働きました。特に、タチアナ選手が乗っていたときから課題だったスタートを改善しようと、クラッチのフィーリングなどを塚越選手が緻密に詰めていってくれました」

「その結果、スタートダッシュも決められて、そのまま順位を上げられただけに残念な終わり方になってしまいました。予選でトラブルが出なければもう少し前からスタートでき、ああいうアクシデントにも巻き込まれないで済んだと思うと悔しいですが、これもレースなので仕方がないです」

「決勝スタート前にギリギリまで悩んでセッティングを微調整しましたが、それがどんな結果につながったのかを確かめられなかったのが心残りです。次はタチアナ選手が乗ることになるかもしれませんが、同じツインリンクもてぎでのレースなので、今回の勢いに乗って頑張ります」

2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 道上龍監督と塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)
2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 道上龍監督と塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)

伊与木仁エンジニア

「今回のレースに向けて新しいダンパーを導入して、走り出しから良い感触でした。予選ではもっと前に行けたはずなのですが、ギヤチェンジのコントロールユニットに問題が出てタイムアタックができませんでした」

「その後決勝レースに向けてセッティングを変更したところ、朝のフリー走行で思っていた方向には纏まっていないことがわかったのでリヤのアンチロールバーなどギリギリまで調整をやり直しました。最終的にはスターティンググリッドでフロントも微調整しました」

「その結果、決勝直前のウォームアップではバランスが改善されたとドライバーは言っていましたが、レースを走って最終的な確認ができなかったのが残念です」

2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 塚越広大と伊与木仁エンジニア(ThreeBond Drago CORSE)
2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 塚越広大と伊与木仁エンジニア(ThreeBond Drago CORSE)
2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)
2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 塚越広大(ThreeBond Drago CORSE)


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