モータースポーツの原動力、それは人間の『熱意』であるとも言える。誰よりも速く走りたい、強いクルマを作りたいという想いが、すべての出発点。熱意を燃料にひとつのことに打ち込む人々が、モータースポーツ業界には多数存在する。この連載では、レースを心から愛する、そんなレース界の『一徹さん』たちに、熱量の源泉と実際の仕事ぶり、そして哲学を聞く。

 第5回に登場いただくのは、全日本スーパーフォーミュラ選手権をプロモートする日本レースプロモーション(JRP)の上野禎久(よしひさ)社長だ。

 上野氏は鈴鹿サーキットに就職し、この世界でのキャリアをスタートさせた。若き時代、鈴鹿で汗を流した濃密な日々が、のちにプロモーターへと転身する上野氏の糧となったようだ。

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 2021年12月1日付けで、日本レースプロモーション(JRP)社長に就任した上野禎久は三重県で育ち1988年4月に株式会社鈴鹿サーキットランド(現ホンダモビリティランド株式会社)に新卒入社した「サーキットの叩き上げ」である。

 だが入社時点では特にモータースポーツ好きではなかったと言う。

「お客様に何らかの幸せを直接提供するイベントの仕事がしたいという、ものすごく漠然とした思いがあって就職先を考えていたとき、ふと飛びこんだのが“鈴鹿サーキットでF1開催決定”というニュースでした」

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