更新日: 2024.06.02 01:40
Team LeMans 2024スーパーGT第3戦鈴鹿 予選レポート
2024 SUPER GT Round3“SUZUKA GT 3HOURS RACE”
■6月1日(公式練習/予選)
スーパーGT第3戦『SUZUKA GT 3HOURS RACE』は、快晴の鈴鹿サーキットを舞台に開催されることとなりました。5月3~4日に富士スピードウェイでのスーパーGT第2戦を終えたばかりのVELOREX(Team LeMans)は、この鈴鹿大会に向けて休む間もなくレース後の車両メンテナンスを実施し、5月7日には鈴鹿サーキットへと移動。5月8~9日に実施されたスーパーGTGT300クラス専有テストに参加しました。
チームは第3戦鈴鹿大会に向けて新たにBBS製ホイールをトライし、午前中のセッションで3番手タイムをマーク。しかし午後のセッションでは、130Rでマシンが横転する大クラッシュが発生してしまいました。車両のダメージは大きかったのですが、幸いドライバーに怪我はなく、改めてフェラーリ296 GT3の安全性を確認しました。チームは深夜までかかって無事修復作業を終え、翌日のテストにも参加。第3戦に向けてのテストプログラムをこなし、大きな手応えと同時にレースに対する課題を感じて2日間のテストを終えました。
6月1日、午前9時45分から開催された公式練習は、気温25℃、路面温度34℃というコンディションの中でのスタートとなりました。VELOREXの6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIは、ニュータイヤを装着してまずはロベルト・メリ・ムンタン選手がコースイン。4周目に2分00秒001をマークし、そのままロングランに突入。12周を終えてピットに戻りデグラデーションをチェックして片山義章選手に交代しました。
片山義章選手はマシンのフィーリングを確認しつつ、計測3周目に2分02秒782、計測4周目に2分02秒503をマーク。その後、コンスタントに21周を走り終えてピットに戻り、エンジニアと共に走行データを確認しました。
セッション残り30分でふたたびロベルト・メリ・ムンタン選手がニュータイヤでコースインし、予選のシミュレーションを開始。計測3周目に2分00秒139をマークし、ピットに戻りました。気温26℃、路面温度が40℃まで上昇しており、コンディションの変化を含めてアジャストし、片山義章選手が2分00秒983をマークしてチェッカーを受けました。ベストタイムは4周目にマークした2分00秒001、GT300クラス15番手で公式練習を終えました。
「前回のテストとコンディションが大きく変わったわけではないのですが、オーバーステアが強く、バランスも良くなかったです」とヘルメットを脱いだ片山義章選手はライバルたちのタイムを見ながら顔を曇らせました。ロベルト・メリ・ムンタン選手もいつもの笑顔がなく、厳しい表情のままデータを睨み続け、エンジニアと長いミーティングが続きました。
古場博之エントラント代表は、「朝のフリー走行では、パフォーマンスランを犠牲にしても前回の鈴鹿テストで問題となったタイヤトラブルの解決と確認を第一優先し、セットアップが後手に回ってしまいましたが、インターパルの間に欧州にいるエンジニアのマッティア・オセアドーレとリモートでやり取りをし、短い時間の中でしたが、大きくセットアップを変更することにしました」と語りました。
午後の予選、15時のセッション開始時には気温26℃、路面温度45℃、湿度62%というコンディション。今回は抽選によってQ1予選Bグループが先にスタートし、予選Q1を担当するロベルト・メリ・ムンタン選手は続く予選Aグループでの走行となりました。Q1上位8番手以内を目指して、ピットに緊張が走ります。
セッション残り8分17秒までピットで待機したロベルト・メリ・ムンタン選手がピットロードへ出た直後、前方のマシンがその進路をふさぐようにコースインしてきて、あわや接触というきわどい状況になりましたが、ピットロード左側ギリギリにステアリングを切り、衝突を避けてコースイン。早めにタイヤを温め、3周目にアタック突入。シケインから最終コーナーの立ち上がりで前の遅いマシンに引っかかりそうになりながらも1分58秒424で予選Q1Aグループ2番手タイムをマークし、そのまま再度アタックすることなくピットロードへと戻ってきました。
16時11分、上位16台でポールポジションを争う予選Q2 Upper16に進んだ片山義章選手は、作戦どおり3周目にタイムアタックを決め、1分59秒488をマーク。ふたりの合算タイムによって、明日の決勝グリッドは3列目、5番手グリッドからのスタートとなりました。
■ロベルト・メリ・ムンタン選手のコメント
「朝の公式練習ではオーバーステアもひどく、最後までマシンのバランスに納得がいかない状況でした。しかし予選が始まると、マシンはまったく別物のように良くなっており、自信を持ってアクセルを踏み切ることができました。アタックラップの最終セクションで前方のマシンと距離が詰まりすぎ、0.2秒ほどロスしてしまいましたが、タイヤを温存する意味で連続アタックはせず、ピットに戻りました。マシンの実力的には2番手タイムも出せたと思います。今回は本当にエンジニアやメカニックの方々が頑張ってくれたおかげです。明日の決勝は、天候が崩れるという予報もありますが、マシンのバランスも問題ないので、自信を持って優勝を狙います」
■片山義章選手のコメント
「朝の公式練習が終わった段階では、いろいろな不安が頭をよぎりましたが、予選までの間に大幅にマシンのセットアップを変更するというチームを信じて、自分の仕事に集中しました。Q1で好タイムをマークしてくれたロベルト選手から、マシンの変化に関するフィーリングやアドバイスを受け、予選アタックに出たのですが、久しぶりにかなり緊張したアタックでした。なんとか1周をまとめ上げられたので、今はホッとしています。最初からタイヤのことを考え、できる限り短い周回数でアタックする予定でいましたから満足です。明日の決勝では、とにかく最後まで優勝を狙って諦めない走りをするよう、頑張りたいと思います」
■小倉啓悟チーム監督のコメント
「朝の公式練習は予選のセットアップを後回しにしてでも、まずは決勝に向けてのタイヤの確認をしたかったので、ロベルト選手にもロングを走ってもらいましたが、セットアップに関しては大きく外していたようです。時間的に厳しいかなとも思ったのですが、本当にチームが一丸となって作業を行ない、予選までに大幅なセットアップ変更をすることができました。予選Q1ではロベルト選手が頑張ってくれましたし、方向性が間違っていなかったことが確認できました。ロベルト選手はもう1周アタックすることもできましたが、総合的にみてタイヤを温存し、片山選手へとつなぎました。片山選手も本当に良い走りを見せてくれたと思います。公式テストでのクラシュの影響もなく、ヨコハマタイヤを履くチームの中でトップという順位は、我々にとって納得がいく結果でした。明日の決勝レースは天候が不確定ですが、様々な戦略シミュレーションをしつつ、想定外のことが起こっても対処できるよう、攻めのレースをしたいと思っています」