TGR TEAM ENEOS ROOKIE 2024スーパーGT第4戦富士 レースレポート
2024 AUTOBACS SUPER GT Round.4
FUJI
2024 AUTOBACS SUPER GT 第4戦
FUJI GT 350km RACE
2024年8月3日(土)〜4日(日)
富士スピードウェイ(静岡県)
All Photographs by Noriaki MITSUHASHI / N-RAK PHOTO AGENCY
公式練習
8月3日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ
勝利に限りなく近づきながらも、ピットアウト時のアンセーフリリースによるペナルティを課され、悔しい2位となった第3戦鈴鹿から約2カ月。2024年のスーパーGTは第4戦を迎えた。
ROOKIE Racingのメンバーはその間もスーパーフォーミュラやスーパー耐久などさまざまなレースを戦ってきたが、スーパーGTの悔しさはスーパーGTでしか晴らせない。チームは地元での一戦となる第4戦富士に向け、並々ならぬ決意で乗り込んだ。もちろん、チャンピオン争いを考えても、もう決して落とすことはできない。シリーズはもう中盤戦だ。
そんな一戦は、8月3日(土)に予選日を迎えた。雲が多いものの、全国的な猛暑の一日で、午前9時からの公式練習は気温29度/路面温度38度というコンディションのもと迎えた。
ENEOS X PRIME GR Supraは午後の予選、そして翌日の決勝に向けてセットアップを進めるべく、福住仁嶺がステアリングを握りコースイン。8周目に1分29秒378というベストタイムを記録し、その後も赤旗中断をはさみながら頻繁にピットアウト〜インを行いクルマを確認していった。ただ、決して感触が良いわけではない。「問題点が多かった」と福住が言うように、予選に向けた改善が必要であると感じさせた。
その後、12周を走り大嶋和也に交代すると、引き続きセットアップを確認していきながら周回。大嶋は最後に1分29秒422を記録し公式練習を終えた。ただ順位は10番手。今回は350kmという短めのレースで予選順位が重要ながら、ライバルのメーカー、タイヤメーカーの車両が速い状況だ。
第3戦での2位表彰台でサクセスウエイトは増えてはいるものの、決してそれだけがスピード不足の原因ではなさそうだった。チームはその後も予選でのピークを狙うべく、フルコースイエローの訓練では大嶋が、サーキットサファリでは福住がドライブし、僅差の予選を勝ち抜くべくENEOS X PRIME GR Supraのさらなるセットアップ改善を進めていった。
公式予選
8月3日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ
公式練習の後に行われたFIA-F4第5戦で発生したアクシデントの影響で、5分遅れで迎えた公式予選。気温33度/路面温度54度という暑さのなか、午後3時03分から行われたQ1でアタッカーを務めたのは大嶋だ。
午前中に得られたデータをもとに、セットアップの改善に取り組んでいたENEOS X PRIME GR Supraだが、「かなり良くはなっている」と大嶋は感じたものの、5周目に記録されたタイムは1分28秒935。14番手と苦しい順位となってしまった。しかし今季の予選はタイム合算方式。Q2の福住のアタック次第では挽回のチャンスもある。大嶋はQ1のアタックで得られたフィードバックを伝え、午後3時59分から行われたQ2に福住を送り出した。
そのフィードバックもあり感触は改善していたが、「感覚としてはもう少し伸ばせそうなところがあった」という状況。福住はそれでも1分28秒566を記録し、Q2の3番手につける。タイム合算では8番手という順位となった。
予選はやや悔しい結果となったものの、「決勝ペースは良さそう」と大嶋。チームは翌日の巻き返しに向け、さらなる改善に取り組んでいった。
決勝レース
8月4日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ
公式予選では8番手と、やや苦しい位置につけることになったTGR TEAM ENEOS ROOKIEは、一夜明けた8月4日(日)の決勝日での逆襲を目指した。この日は前年を上回る3万1600人という観衆がスタンドを埋め、気温35度/路面温度56度という酷暑のなかで午後2時30分からの決勝レースを迎えた。
決勝ペースに向けてはある程度の自信をもっていたチームは、スタートドライバーに福住を据えた。今回のレースは350kmというレース距離で、1回のみのピットストップ。早めの追い上げが期待されたが、福住はその期待に応え1周目からスパートしていく。
「クルマが良かった」という福住は、まず1周目の混戦のなかで2台抜き。6番手に浮上する。その後序盤は上位陣の順位の動きはなかったものの、福住は少しずつ前を走る#12 Z NISMO GT500とのギャップを詰めていくと、13周目にこれをオーバーテイクしてみせ5番手に浮上した。
勢いに乗る福住は、さらに前を走る#38 GR Supraにターゲットを定めた。同じGR Supraでタイヤも同じだが、ライバルの方がウエイトが軽い。そんな状況ながら、福住は少しずつギャップを縮めると、21周目のメインストレートでサイド・バイ・サイドのバトルを展開。見事オーバーテイクし、これで4番手まで浮上してみせた。表彰台まではあとひとつだ。
そんななか、GT500クラスでも30周を過ぎると少しずつピットインするマシンが現れた。TGR TEAM ENEOS ROOKIEも燃費を見ながらタイミングをうかがい、34周を終えピットへ。今回も迅速に作業を行い、大嶋にステアリングを託した。
ただコースに戻ると、3番手だった#64 CIVIC TYPE-R GTを先行することができたものの、先にピットに入っていた#38 GR Supraがアンダーカットをみせ、大嶋は結果的にピットイン前と同じ4番手となった。
しかし大嶋はジワジワと前を行く#38 GR Supraとのギャップを詰める。先にピットインされた分、タイヤや燃料などは先に#38 GR Supraの方が厳しくなってくるはずだ。
しかしレース終盤、富士スピードウェイ周辺には雨雲も発生し、陽がかげり急速に路面温度が下がっていってしまう。序盤の暑さのなかではスピードをみせていたENEOS X PRIME GR Supraだったものの、路面温度の変化によるものか、アンダーステアが少しずつ強くなってきてしまう。
大嶋は最後までプッシュを続けたが、2.492秒届かず4位でチェッカーを受けることになった。
前戦の借りを返すべく、表彰台は獲得したいところではあったが、それは叶わなかった。しかし予選の状況からしっかり追い上げての4位に、チームメンバーは戦い抜いた手ごたえを得ていた。
これで今季は4戦中3戦でポイントを獲得し、ランキングは5位。まだまだタイトルを狙える位置につけているが、少なくともこれからの2戦はサクセスウエイトによる燃料流量リストリクターの調整も入り、我慢のレースも予想される。その中でいかにポイントを得るかが勝負の分かれ目だ。TGR TEAM ENEOS ROOKIEはさらなる挑戦を続けていく。
ドライバー/監督コメント
DRIVER 大嶋和也
「今回はレース後半を担当しましたが、3番手でピットアウトすることができたかと思った瞬間にすぐうしろから来たので、とても抑えられるタイミングではありませんでした。先行されてしまったのは悔しかったですね」
「ただ、レース序盤からの福住選手のペースを考えたらすぐに抜き返すことができるだろうと一生懸命プッシュしていました。しかし追いついたまでは良かったものの、終盤に路面温度が低くなってからはアンダーステアが強くなってきてしまって。思うようにペースを上げることができなかったです」
「今回は4位でしたが、2戦連続で決勝で良いレースができているので、その点はポジティブに受け止めています。ただ足りない部分も多くあると思っていますし、まだまだ上位に入らないとポイントが苦しくなってしまいます。なんとかしたいですね」
DRIVER 福住仁嶺
「序盤は追い上げることができましたが、クルマが良かったですね。1周目からアウト側スタートのメリットを活かし順位を上げることができましたし、序盤からどのクルマも早めに抜くことができて良かったです。前の2台は速すぎましたが、4番手に上がるまではクルマの状況も良かったですし、サクセスウエイトの状況を考えると悪くないポテンシャルがあったと思います」
「ただ、燃費の関係などから#38 GR Supraにアンダーカットされてしまったのは悔しいところです。僕がもっとチームにインフォメーションできたこともあったかもしれないので、その点は今後の課題にしていきたいと思います」
「次戦から燃料流量リストリクターが絞られると思いますが、そんななかで少しでもポイントを多く獲得するにはどうすれば良いかを考えていきたいです」
DIRECTOR 高木虎之介
「公式予選で8番手になってしまったのが少し厳しかったですね。そこから福住選手がすごく頑張ってくれて追い上げることができ、後半の大嶋選手が一騎討ちの3番手争いになりましたけど、最後に抜くことができていたら完璧でしたね。とはいえ4位で多くのポイントを獲得することができたので、その点では満足しています」
「#38 GR Supraの方がサクセスウエイトが軽かったので、それを考えたら上出来なレースになったのではないでしょうか。もちろん勝ちたかったところもありますが、ウエイトが軽いチームがやはり速いです」
「今回4位になったことで、次戦からは燃料流量リストリクターが絞られることになりますが、なんとか多くのポイントを獲得することができるよう頑張っていきたいです。次戦もまだ暑い中だと思いますが、しぶとく戦っていきます」