「今年、僕たち(ドライバー&チーム)がどれだけいい仕事しているのか、っていうことですよね」。第5戦富士で今季最上位となる2位を獲得し、表彰台から降りてきた松田次生はポイント状況について知ると、冗談交じりの笑顔で語った。
謙遜することはない、事実と言っていいだろう。開幕から7位-4位-5位-4位-2位というニスモのリザルトは、レクサス圧倒の状況下にある今季のGT500においては見事の一語に尽きる。
松田は富士で勝てなかったことは当然悔しいながらも、「優勝車とのハンデ差を考えれば」と、2位という結果に一定の満足感を示す。
ニスモは富士戦を52kgのハンデ数値で迎え、レクサス勢以外では初めて、今季からの新たな燃料流量リストリクター(燃リス)調整域に入っていた。
そして同じく燃リス調整1段階目にあったZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明)と、松田は後半スティントで長く2位争いを展開した。
2014~15年は今季のような3段階式ではなく、50kg分一気の燃リス調整だったが当時、それにもっともうまく対応しているのがGT-Rだという声は、ニッサン陣営内だけでなく外からも聞こえていた。
規則の内容は違うが、富士の直線での松田とZENTの戦いを見ると、今季方式の燃リス調整にもニッサンは好相性のように思えるところがあった。だが、松田に聞くと「いいのだろうとは思いますけど、向こう(ZENT)の方がウイング立っていましたからね」との答え。
「正直、僕たちはウイングを寝かせていくしかなかった。レクサスほどダウンフォースをつけられない分、リヤ(の挙動やタイヤ)に関しては苦労しました。それに向こうはまだバージョン2のエンジンを残しているんですよね」
ニッサン勢は第4戦SUGOからバージョン2のエンジンを他に先駆けて投入、その効果も含めて「開幕前の状況に比べれば、戦えるようになってきました」という好ましい近況だが、「レクサスは重く(ハンデ数値が大きく)ても速いです」との実感も松田には残る。
ポイント的にはランク上位の団子のなかに入ってきたとはいえ、決して松田らにとって楽観できる状況でないことは変わらないようだ。
今はポイント×2倍のハンデ係数に苦しんでいる面もあるレクサス勢だが、これが×1倍~ノーハンデとなる第7戦タイ~第8戦もてぎの終盤2戦では、ふたたび生来の速さを存分に発揮してくる可能性も高い。
