20周目には1台を抜き、さらに他の車両もドライバー交代を行なうと4番手まで浮上したが、そのまま走り続けるわけにはいかない。

 26周目に嵯峨選手と交代した『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』はタイヤ無交換で、コースに送り出されたものの、再び14番手にまで後退せざるを得ず。それでも諦めずに走り続けた嵯峨選手は、最初からドライタイヤで走っていた車両のピットイン、また上位陣の脱落もあって46周目には10番手と、ついに入賞圏内に戻ってきた。だが、53周目、54周目に相次いでかわされる。

 ラスト2周でガス欠症状に見舞われた車両が1台止まったこともあって、ひとつ順位を戻すことになったものの、入賞まであと一歩の11位という結果に甘んじた。その結果、一縷の望みが残されていたチャンピオン獲得の希望は、ここで絶たれることとなった。

 しかし、全車ノーハンデの戦いとなる最終戦の舞台、ツインリンクもてぎは昨年ポールポジションを奪って、決勝でも2位に。相性は『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』は抜群のサーキットだ。「終わり良ければ、すべて良し」、それを地で行くような活躍を期待したい。

嵯峨宏紀選手

「結論から言えば、2ピットが、いちばん大きかったですね。この時点で、戦略で取り返すのは当然のことながら無理なので、その中でできることを僕はやっていたんですが、さらに後半ペースも上がらず、ずるずると抜かれて行くだけのレースになってしまいました」

「次は特にブレーキが大変なもてぎなのですが『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』と相性が良いサーキットなので、そこでいい状況を作れれば、もてぎだけでなく来年につながるのでは……。絶対、そういうレースにしてみせます!」

久保凛太郎選手

「早々にドライ路面に変わって、ドライ路面でも走れるようなウエットタイヤを選んでいたので、雨の多い時は苦しかったのですが、乾いてきてからは良い状況でした」

「なのに僕の判断ミスで、ウエットタイヤが音を上げたと思い、作戦を切り替えてもらって早めにドライタイヤに交換したんですが、あと6周、7周、そのウエットタイヤを保たせて引っ張っていれば、間違いなく入賞はできたはずなので……。僕に焦りがありました。みんなに申し訳なく思います。本当にすみません……」

金曽裕人監督

「そもそも2ピットの予定は全くなく、スタートから凛太郎にミニマムの周回まで行ってもらうはずだったんです。でも、タイヤが壊れたというインフォメーションが入ったので、前戦みたいなクラッシュは避けなきゃいけないのでピットに入れました」

「ところが、どんどんドライ路面になりウエットタイヤ内圧が上がってグリップが下がっただけでした。結果は11位で終わりました。1ピットならば、まだまだ上を狙えた、レースでした」

「ドライバーの命を預かってレースをやっているから、入れるしかないと判断したが、実際にはブリヂストンのタイヤはさすがであり、全く問題は無かったです。せめて、あと6周頑張ってくれればと……」

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