■『スーパーGT養成ギプス』になれば

「金持ちの道楽」「プロ以外の走りは興味無い」……。こうしたジェントルマンドライバーたちの活動を記すと、こういったリアクションが多い。ただ筆者は、ジェントルマンドライバーなくしてモータースポーツ(特にスポーツカーレース)はなし得ないと考えている。海外ではジェントルマンを大切にする文化がしっかりと形成されている。日本では少々事情は異なるが、CARGUY Racingのようなチームもあれば、つちやエンジニアリングのように技術でトップを狙うチームが共存するのがGT300の面白さだと思っている。

 そしてジェントルマンドライバーの取材をするといつも非常に興味深い話を聞くことができる。会社経営者はやはり確固たる考え方があり、その考え方もとてもユニークなものが多いからだ。木村はこんなことを教えてくれた。

「私はレーシングチーム『CARGUY Racing』のオーナーですが、私自身がひとりの“実験台”だと思っているんです。44歳からレースを始めて、まだ2年と10ヶ月くらい。でも、ここまでできたし、実際いまは横溝君と1秒変わらないくらいまで走れているし、ケイや横溝君とカートで競り合ったりしています。そして私が実験台になって、チームのレベルを上げようと思っているんです」と木村は言う。

「プロ同士で組んだら、当然私のケアは誰もしない。でも、いまは横溝君もはじめチーム全体が私をサポートせざるを得ないので、みんなで協力し合う空気ができているんです。イコール、私がもし乗らない時にプロ同士で組んだら、このチームはすごく強くなるはずなんです」

 キャリアが浅い木村は、まだまだ周囲がしっかりとサポートしなければ力を発揮することはできない。しかし、その分チームは一致団結し、ともに組むプロは木村の分も奮闘しなければ、いい成績を残すことはできない。代表でもある木村は、チーム全体を強くすることを狙っているのだ。

「『大リーグ養成ギプス』じゃないですけど、私が『スーパーGT養成ギプス』みたいになれば(笑)。『あれ!? 木村さんがいないと楽だな〜』って」

CARGUY ADA NSX GT3のピット。チームも木村を中心に一致団結しつつある
木村のチームメイトである横溝直輝。GT300チャンピオン経験者だが、「まだ速くなる」と木村とトレーニングを積む

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