「健二さんの件でいろいろ複雑な事情もあって、(田中)耕太郎さんがエンジニアとしてチームルマンに来てくれることにななりました。僕らとしては困っていた状況でこんなにありがたいことはないので、受け入れさせて頂きました。これも健二さんが作ってくれた機会だと思っています」

 好運にも後任はすぐに補うことができたが、心情的には寿一監督もまだまだ切り替えられていない。

「みんなは『チーム』と簡単に言葉にするけど、エンジニア、メカニック、監督、マネージャー、スポンサーの方にケータリングの方、みんないろいろな思いを持って、いろいろな苦しみを背負って、いろいろなストレスと戦いながらここ(サーキット)に来ている。それを全部ひとつの方向にまとめながらレースができると楽しいけど、今回はレースをすることが苦しいし、早く無事にレースが終わってほしい。亡くなったあとの最初のレース、なんとか健二さんに喜んでもらえる成績を出したいと思うけど、早く次に進みたい」

「前を向いて笑顔になるのが不謹慎になるのかもしれないし、正解がわからない。大切な一戦でなんとかまとめたいけど迷いがあるし、苦しいし、しんどい……。和也が表彰台の真ん中に立って天を指さしながら仰いでくれたら、吹っ切れるのかもしれないね」

 開幕戦の岡山ではレース終盤で見事な追い上げを見せて4位。今回の富士には22kgのウエイトハンデを搭載するも、クルマのポテンシャルは高く、チャンスはある。寿一監督をはじめ、チームルマンのスタッフ全員がさまざまな想いを抱いて、伝統の富士500kmレースに臨む。

第2戦富士のWAKO’S 4CR LC500のホスピタリティ前に展示された山田健二エンジニアを偲ぶボード

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