チームメイトのGT500ルーキー、山下健太もこのタイへの期待は高い。「チームが得意としているサーキットなので、やっぱり今週末の目標は優勝です。僕自身、GT300時代はこのタイのコースにまったくいい印象がないのですが(苦笑)、そんなことも言っていられないので、頑張りたいです」と山下。ランニングする国本に続くように、自転車でコースウォークに向かった。

 そのWedsSportと同じく優勝候補の本命と言えるのが、ウエイトハンデ28kgで並ぶWAKO’S 4CR LC500とau TOM’S LC500のレクサス2台だ。au TOM’Sの東條力エンジニアが話す。

「今回は優勝しないとマズイですね。このタイ、そして次の富士で勝たないとチャンピオンの可能性はないと思っています」と背水の陣で臨む東條エンジニアとau TOM’S。

「テストができないコースだけど、走行時間は充分にあるのでタイヤの見極めをしっかりとして、どこまで持つ、持たないの判断をしたいと思います。タイヤ無交換をするクルマもあると思いますが、その可能性を含めて考えたいと思います」と、東條エンジニアは今週末のポイントを続ける。

 また、WAKO’Sのチームルマンもタイとの相性はすこぶる良い。これまで4回行われたタイ戦で2位2回、3位1回の3度表彰台を獲得。今年は4年連続表彰台の連続記録が懸かっているが、もちろんチームとしては初の表彰台の最上位を狙う。WAKO’Sも優勝候補の一角であることは間違いなく、2戦目となる田中耕太郎エンジニアとスタッフの関係も深まってきており、チームの雰囲気は良いようだ。

 このタイのチャン・インターナショナル・サーキットは路面のミュー(摩擦係数)が低く、気温が高い割にタイヤの摩耗は低く、タイヤ無交換作戦を選びやすいコースでもある。事前のテストができないサーキットだけに、練習走行でのタイヤの見極め、エンジニアの判断がいつも以上にレースの結果に影響を及ぼすことになる。

今回のGT500の優勝大本命の1台au TOM’S LC500。ル・マン24時間で優勝した中嶋一貴の勢いをスーパーGTでも発揮したいところ

 また、このタイのサーキットと相性の良いヨコハマ勢としては、前述のWedsSportを含めて3台ともウエイトハンデが軽いだけにフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R、MOTUL MUGEN NSX-GTの2台も上位進出の可能性も高い。

「相性的にはいい方だと思うので、今回こそはいい結果を残したいですね。自力で表彰台以上の成績を獲りたいですね」と話すのはフォーラムエンジニアリングの高星明誠。MOTUL MUGENの手塚長孝監督も「今週はウチも重量が軽いですし、ヨコハマタイヤにとってもチャンスですので、なんとか表彰台を目指して頑張りたいです」と、期待を語る。

 現地のサーキットでは木曜、金曜と両日、夕方に文字どおりバケツをひっくり返したようなスコールとなり、雷鳴が轟いた。事前の予想ではレクサス陣営、そしてヨコハマ勢が優勢な流れだが、海外戦はこれまで大番狂わせが多いのも事実。接触やクラッシュ、スコールに雷鳴などなど、不確定要素は少なくない。

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