「クルマのバランスはそんなに悪くなかったんですけど、初めてゴム付き(ピックアップ)が発生して。それでちょっとペースが上がらなかったんです。後半も症状は同じでしたね」
「最後はゴムが取れて、また1分38秒台にペースが戻ったので、クルマの調子は良かった。でも、今回初めてそういうことが起きて悩んでいるので、今は機嫌が悪いです」
これに対して、前半のジェンソン・バトンが「ピックアップに苦しんだ」とコメントしたものの、後半の山本尚貴はきれいにタイヤを使っていたというのがRAYBRIGの伊予木仁エンジニア。
「ウチは、ドライバーがふたりとも『スティント前半からプッシュして突っ込んだら、絶対にフロントタイヤをやっつけちゃう』と、昨日の走り出しから終始アンダーステアを抱えていましたしね。特にJB(ジェンソン・バトン)は柔らかい方のタイヤでしたから」
「幸い、セーフティカーが出ましたけど、タイヤのケアも考えて、僕からは『2〜3台は抜かれても構わない』という話はしていました。ドライバーからも『そうだよね』と」
「だから、尚貴も最初はペースを抑えていましたけど、終わってタイヤを見てみたら結構フロントはギリギリでした。ふたりともすごく上手にタイヤのマネジメントをしてくれたと思います」
「ピックアップの問題はなかったわけじゃないんですけど、それも事前にドライバーと『ここはもうピックアップするもんだって考えていこうよ』と話をしていました。ただセットアップを変えた影響なのか、それほどピックアップが大事に至ることはなかったですし、尚貴のタイヤはビックリするほどキレイでした」
最初にペースを抑えたRAYBRIGに対し、それより速いペースで入ったARTAとKEIHINがピックアップに悩まされたわけだが、そうしたタイヤの使い方も含めて、現在のスーパーGTは細かな部分が大きな違いを生むハイレベルな戦いが繰り広げられている。
そして、そうした積み重ねが、結果としてレクサスとホンダのギャップにもつながったのだろう。
