このセブンポストリグは、実走行に近いかたちでサスペンションや車体の状況などを精密に理解することができるもので、日本ではチームルマンが御殿場市に設けている。

 ただ、実際にはただかければいいというものでもなく、そこから得られるデータをきちんと読み解き、セットアップに反映させることが重要だ。それができなければ“無駄金”になってしまう。

「トヨタ系のチームは(ルマンのセブンポストリグを)使っているかもしれませんが、僕たちはセブンポストリグは知識としては理解していても実際に使ったことはありませんし、それから出てくる結果をどう読み解くかも経験はないんです。だから今回得られたものはすごく有意義です」というのは高根エンジニア。

「彼らの推奨の数値を受け入れながら、僕たちから『これは日本ではマッチしない』という意見をしたりしながら、その合わせ技で今回のセットアップを作っています」

 今回、チームが施してきたセットアップは、イギリスでセブンポストリグを経て得られたデータの「まま」ではないが、また今回のタイでの結果をふたたびセブンポストリグにかければ、違いとしてチーム、そしてAMRに蓄積されていくはずだ。

 しかも、セブンポストリグのスペシャリストがAMRの『クルマを作った人たち』とともに解読すれば、よりスーパーGTで戦う環境を理解してくれる。

「この第3戦からのインターバルの間に、エンジニア、AMRのエンジニア、そしてドライバーが『何ができるか』と考えてくれた結果がこの予選の順位だと思います。スーパーGTは短い時間で決めなければいけないところが多く、持ち込みセットを外すとすぐに結果に繋がってしまいます。今回、確実にいいだろうという選択をしたことが予選順位ではないでしょうか」と武田敏明監督。

「アストンマーティンはモータースポーツをすごく重視していますし、スーパーGTに賭けている熱意を感じます。ここまでやってくれるマニュファクチャラーはいないのではないでしょうか」

 アストンマーティン/AMRの“本気”がチームの悔しい思いに応えた結果が今回のD’station Vantage GT3の予選順位に繋がったと言える。そして逆に、それほどタイヤというものが重要なのだと指し示すエピソードと言えるだろう。また、今回得たもので今後のシーズンに向けたベースも固まったはずだ。

 最後に藤井に「レースはいけますか?」と聞くと「自信あります」と前日同様の笑顔で語った。

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