2019年シーズン、チームは『D’station Racing AMR』というチーム名が示すとおり、車両のスイッチにあわせアストンマーティンと強力なコラボレーションの体制がとられた。ただ、序盤3戦は厳しい結果に終わった上に、トラブルも多発しており、毎戦帯同するアストンマーティン・レーシング(AMR)のエンジニアたちも厳しい表情を浮かべていたのが印象的だった。ヴァンテージGT3自体がダメなのではなく、海外ではきっちり結果も出しているだけに、余計にエンジニアたちの悩みも深かったのだ。

 アストンマーティン自体が日本、そしてスーパーGTというマーケットを非常に重視しての今季のスーパーGTへの参戦なのだが、この結果は決してAMRが意図したものではない。きちんと結果を残すべく、車両が日本からタイに移動している間に、AMRでは抜本的にスーパーGTというフィールドをしっかりと理解するためにある策をとることになった。

 AMRはチームに対し、「スーパーGTで使っているヨコハマのドライとウエットを、1セットずつイギリスに送ってくれ」とオーダーした。そこでチームはタイヤを送ったのだが、AMRはF1チームなども使用するマルチマチックのセブンポストリグを使い、新車のヴァンテージGT3にヨコハマを履かせ、徹底的にリサーチを行ったのだ。

 さらに、タイヤの数字測定を行う機械を使い、ヨコハマタイヤへの理解を深めた。なんとかかった時間は丸一日。セブンポストリグは日本にもあるが、この機構を動かすのには大きな費用が発生する。AMRはこれを“自腹”でやってきたのだ。

「そこにAMRのエンジニアが行って、ヨコハマタイヤを理解した。彼らが思っていたこと、ヨーロッパで体験していたこと、数字とは違うものがあったんです。それをもとに今回のセットアップを決めました」というのは藤井だ。

2019年のスーパーGT第4戦タイ公式予選でGT300クラス3番手につけたD’station Vantage GT3
2019年のスーパーGT第4戦タイ公式予選でGT300クラス3番手につけたD’station Vantage GT3

「そうしたら今回はフィーリングがすごくいいですし、タイヤのインフォメーションもすごく増えました。性能調整が良くなった部分もありますが、ヨコハマをより深く理解したクルマのセットを、体感とか日本での経験ではなく、数字上でクルマもタイヤも理解することができました」と藤井。しかもこの測定で、第2戦でのタイヤトラブルも“原因”が突き止められたという。

■“基本”ができたD’station Vantage GT3

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