一方、ARTA NSX GT3も実はSUGOで得点を稼いでおきたかった理由があった。「この結果はデカい。明日は雨だしね(笑)。それに昨年34号車(Modulo KENWOOD NSX GT3)がもてぎで結果が出にくく、どちらかというとSUGOの方が結果が出やすかったと思う」というのは高木だ。
「そう考えると、ここである程度引き離しておかないと、かなりもてぎはつらい」と高木。その点では、ARTA NSX GT3の今回の予選までの仕事ぶりは、高木と若き福住の好走もあり、パーフェクトに進んでいると言えるだろう。
「どのサーキットにいっても予選ではいつも前にいたいと思いますし、今年は一度もQ1落ちしていないので、ある程度いいポテンシャルで走れていると思っています。今回ウエイトが半分になったとはいえ、いちばん重いなかで予選2番手になったので、チームや高木さんの力のおかげだと思っています。明日に向けてもいい流れですし、タイトル争いのなかでも最低限の順位ではないでしょうか」と福住も口をそろえた。
ただ、そんなARTA NSX GT3もまだ“王手”をかけられたわけではない。2018年も最終戦のレース前までチャンピオンにいちばん近い位置にいながら、手のひらから王座がこぼれ落ちていった。
「こういったところで“SUGOの魔物”が現れるからね。そこを注意しながらレースを戦わなければいけないかな。ここ2戦はチームとしてもペナルティがあったので気を引き締めてここに挑んでいるけれど、まずはミスがまずないようにレースを戦わないと」と高木は気を引き締める。
「チャンピオン争い自体は今までもずっとやってきているけれど、最終戦でうまくかみ合わないことが多かったりする。日ごろの行いから良くしているつもりでもダメなので(苦笑)、何かがあるのかもしれない」
「最終戦、もしかしたら『こんなに楽に獲れたんだ』になるかもしれないし、やっぱり辛くなるかもしれない。毎年タイトルは争っているので、冷静に分析できる部分はありますけどね。まあ楽じゃないですよ」
「今年、初めてのNSX GT3を扱いながら精一杯やってこられた。ブリヂストンもチームもよくやってくれたからこそ、ここまで来られたと思う。その総合力を活かして、今回と最終戦に繋げていきたいですね」
ブリヂストンはウエットが強いこともあり、高木は「ドライバーもチームも含めミスをなくしていけば、最低でも表彰台はいけると思う」と決勝に期待する。
そして、フル参戦初年度からタイトル争いに絡んでいる福住も「いいタイヤを履いて、いいチームで走れていますし、まして高木さんがチームメイトですからね。ランキングでこの順位なのは当たり前だと思っています。自分自身へのプレッシャーというよりも、ドライバーとしていい仕事をしなければと思っています」という。
果たしてARTA NSX GT3が“余裕をもって”最終戦に臨むのか。予選では苦しんだ2台が決勝で逆襲をみせるのか。はたまたランキング4位以下につけるARTA NSX GT3、T-DASH ランボルギーニGT3、GAINER TANAX GT-R、グッドスマイル 初音ミク AMGが“逆襲”をみせるのか。レースの行方は見逃すことはできない。
