SFについては本誌でも予想していたように、宮田莉朋と阪口晴南がフル参戦することになった。宮田はキャシディ、阪口は石浦宏明という元王者からシートを譲り受けたかたちとなり、プレッシャーもあるだろう。しかし、ふたりとも代役参戦の経験があり、すでに速さは見せている。トヨタの第二の矢として、期待は充分。
ほかのラインアップは変わらないが、今年は山下が国内レースに専念できることも、トヨタ陣営にとってのプラス材料。今後のカレンダーの見直しも予想され、WECとの兼ね合いで全戦参戦できるかはまだ不透明だが、中嶋一貴と小林可夢偉も引き続き参戦する。トヨタ陣営内のエントリーリストを見ただけでも、その対決が楽しみだ。
そして最後に、GT300で驚きの発表があった。昨年、開幕戦富士でデビューウインを飾り、最終戦ではポール・トゥ・ウインも果たしたJAF-GT規定のGRスープラGTが3台に増えることになった。GRスープラGTは、空力およびカウル開発でトヨタカスタマイジング&ディベロップメント、シャシー開発ではaprの技術協力を受け、埼玉トヨペットGreen Braveが独自に開発。そのGreen Braveに、他チームから供給のオファーがあったという。
当初、他チームに供給する計画はなかったそうだが、「ものづくりの重要性や技術力を磨いていく必要性をお互いに共有できた」と、供給を快諾。60号車のLM corsaはダンロップ、244号車のMax Racingはヨコハマ、そして52号車のGreen Braveはブリヂストンを装着。新たなタイヤ戦争の火種となるのは必至で、それがさらにGT300のレベルを引き上げることになりそうだ。
244号車のメンテナンスは、つちやエンジニアリングが請負っており、そこでの“ものづくり対決”にも注目。ライバルでありながら切磋琢磨していく。技術競争が激しかった、かつてのGT300の姿が戻ってくる。
86マザーシャシーを除き、GT300でトヨタ/レクサスがチャンピオンとなったのは、2009年のIS350まで遡る。一日の長があるプリウスPHV、RC F GT3に加え、第三の矢となるGRスープラGTの増大。トヨタ陣営は、GT300も本気でタイトルを獲りにくる。

