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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.04.14 17:35
更新日: 2021.04.14 17:36

TGR TEAM ENEOS ROOKIE 2021スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

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スーパーGT | TGR TEAM ENEOS ROOKIE 2021スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

 そんなチーム全員の思いを胸にENEOS X PRIME GR Supraのステアリングを握った山下健太だが、コンディションの変化からか、スティント序盤はフロントが、そして少しずつリヤのグリップ感が減るのを感じた。ペースが鈍るなか、後方から2番手に浮上した#36 GR Supraが迫った。

 50周を過ぎる頃になると、2台の差は1秒を切り始める。そして61周目、いよいよ#36 GR Supraが山下に並びかけた。しかし、山下と#36 GR Supraを駆る坪井翔選手は、これまでも長年切磋琢磨してきた間柄。どこからどう攻めてくるか。手の内を知っている。山下は絶妙なラインどりでディフェンスした。

 #36 GR SupraはあらゆるパターンでENEOS X PRIME GR Supra に仕掛けるが、山下は必死の抵抗をみせる。最高の仕事をしてくれたメカニックたち、セットアップを仕上げてくれたエンジニア、そして新チームのこれからのために。その鬼神の走りはピットで見守る大嶋、チーム全員、そしてファンの感動を呼ぶことになる。

 迎えた75周目。アトウッドカーブからの立ち上がりで加速に乗った#36 GR Supraは、ヘアピンでいよいよアウトから仕掛けにかかった。山下も決してダーティではないラインを取りながら防戦にかかる。わずかながら#36 GR Supraに前に出られたか……? チームは全員固唾を呑んでその瞬間を凝視した。

 しかし、#36 GR Supraはヘアピンのブレーキングで大きな白煙を上げると、減速しきれずアウト側のグラベルにオーバーランを喫してしまった。そしてその様子を視界の片隅に収めながら、山下は冷静に通過していった。

 決してその後も楽ではない苦しい状況ながら、これでENEOS X PRIME GR Supraのリードは盤石なものになった。終盤、山下は2番手以下とのマージンをコントロールすると、紅く染まりかけた岡山の空の下、82周の長丁場を走りきり、2年ぶりのSUPER GT開催を待ちわびた岡山のファンから万雷の拍手を受けながら栄光のチェッカーフラッグを受けた。

2021スーパーGT第1戦岡山 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)
2021スーパーGT第1戦岡山 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)

■ここからがスタート

 新体制で2021年のスタートを切ったTGR TEAM ENEOS ROOKIEにとって、開幕戦はこれまでの努力が優勝という最高のかたちで結実することになった。

 ピットでその様子を見守り、激闘を大嶋、山下、そしてプレッシャーをはねのけ大仕事をやり切ったエンジニア、メカニックたちと喜び合ったチームオーナーの豊田章男も、この結果に最高の笑顔をみせたが、「まだこれからがスタート」と発破をかけた。チームが目指すシリーズチャンピオンという目標に向け、まだ第一歩を踏み出したばかりなのだ。

MORIZO’s Voice

新体制となったTGR TEAM ENEOS ROOKIEにとって、今回は初めてのSUPER GTレースウイークとなりました。

このレースも本当に僅かな差で勝敗が決まる戦いです。

公式予選ではコンマ1秒差でポールポジションを逃し、ドライバーはもちろん、チーム全員が悔しい思いをしました。

「そのコンマ1秒の悔しさを、ドライバー、エンジニア、メカニック、スタッフ……チームみんながそれぞれの努力で詰めることができれば勝てる……」

「コンマ1秒を縮める戦いをしよう」と決勝前、チームのみんなと誓い合いました。

今回は、みんながその役割を果たし、ワンチームで掴み取れた勝利だと思います。

我々は新しいチームです。

今までモータースポーツに携わっていなかった人も参加しています。
まわりからは“素人集団”と揶揄されたこともありました。

ドライバーの大嶋と山下はもちろん、メンバー全員、そんな声に負けず、本当に良くやってくれました。

そんな新興チームと一緒に戦おうと言ってくださったスポンサーの皆さまにも深く感謝申しあげたいと思います。

おかげさまで初戦を勝利でスタートすることができました。
しかし、まだまだこれからです。

より厳しい戦いが待っています。
やるべきことはたくさんあります。
チームのみんな、これからもワンチームで戦っていきましょう!
ワンチーム! ジャンボ!

そして、今日は、もうひとつ嬉しかったことがありました。

ひさびさにファンの皆さまが観ている前でレースができたことです。

今までのように間近でコミュニケーションは取れずともファンの笑顔を見て走るドライバーたちは、やはり嬉しそうでした。

ファンの皆さまの笑顔がモータースポーツを支えていると実感した週末です。

TGR TEAM ENEOS ROOKIEはファンの皆さまにもっと笑顔になっていただけるようなレースを続けてまいります。

ファンの皆さま、笑顔のご声援ありがとうございました。
引き続き、応援よろしくお願いいたします。

ROOKIE Racing チームオーナー 豊田章男

2021スーパーGT第1戦岡山 大嶋和也/豊田章男チームオーナー/山下健太(ENEOS X PRIME GR Supra)
2021スーパーGT第1戦岡山 大嶋和也/豊田章男チームオーナー/山下健太(ENEOS X PRIME GR Supra)

ドライバー/監督コメント
大嶋和也

「本当に良かったです。レース序盤にトップに立って、楽な状態で山下選手にバトンタッチしたいと思いましたが、GR Supra同士でそう簡単には抜けない状況でした。ピットイン時は、『ここから先はもう任せた!』という気分でした(笑)。ピットで前に出てからは山下選手がもう少し良いペースで走れるとは思いましたが、予想以上に辛そうだったので、前半スティントと何か変化したのかなど見つけなければなりませんし、ギリギリで勝つことはできたものの、#36 GR Supraの方が速さがありましたし、しっかりミーティングして、富士でまた勝てるように準備していきたいと思います。正直昨年は予選でいつも辛くて、自信をなくしかけていたところでした。予選も、そして決勝も良い流れできていますし、最高のスタートが切れたので、今年は本当に楽しみですね]

山下健太

「正直、レース終盤はずっとペースがキツかったですね。でも大嶋選手とチームの皆さんが僕をトップで送り出してくれたので、『これは勝たなければならないな』と後半スティントに臨みました。レースの前半を見る限りペースは良いだろうと思っていたのですが、あまりペースが良くなく、ずっと#36 GR Supraの坪井選手に攻められるかたちになりました。そんななかでも最後までトップを守ることができて本当に良かったです。今回の第1戦ではGR Supra勢が上位を独占しましたが、他のコースではライバルも強いはずです。ただ次戦の富士はGR Supraが速いはずなので、しっかり次のレースでも優勝して、ライバルに対してマージンを稼いでおくことがチャンピオン争いを考えても重要だと思っています」

高木虎之介監督

「公式テストではここまでの雰囲気はありませんでしたが、クルマもすごく順調に仕上がってくれました。エンジニアにも感謝していますし、大嶋選手が昨年1年頑張ってくれて、ここまでで最高の仕上がりになったと思います。またメカニックたちも新人ばかりでしたが、混乱のなかでも素晴らしい仕事をしてくれたと思います。後半の山下選手もなんとかしのいでくれたことで、勝つべきレースをちゃんと勝ちとることができましたし、次戦の第2戦富士も長いレースですから、またチーム全員がしっかり団結し、好結果を残せるように頑張っていきたいと思っています。TGR TEAM ENEOS ROOKIEとしての初優勝は本当に嬉しいですが、ドライバーふたりがもっと喜んでいると思うし、ホッとしたのではないでしょうか」

2021スーパーGT第1戦岡山 大嶋和也/山下健太(ENEOS X PRIME GR Supra)
2021スーパーGT第1戦岡山 大嶋和也/山下健太(ENEOS X PRIME GR Supra)
2021スーパーGT第1戦岡山 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)
2021スーパーGT第1戦岡山 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)


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