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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.09.02 11:23

Max Racing 2022スーパーGT第5戦鈴鹿 レースレポート

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スーパーGT | Max Racing 2022スーパーGT第5戦鈴鹿 レースレポート

Max Racing
レース結果報告書
2022 SUPER GT Rd.5鈴鹿サーキット

日時:2022年8月27~28日
車両名:HACHI-ICHI GR Supra GT
場所:鈴鹿サーキット
ゼッケン:244
監督:田中哲也
ドライバー:佐藤公哉/三宅淳詞
チーム:Max Racing
リザルト:予選2位/決勝リタイヤ

今季最高位の予選2位を獲得
優勝が射程距離内に入る中、突然のトラブルに泣く

 サマーブレイク明けの前回、第4戦の富士ではオープニングラップで追突に巻き込まれ、戦わずしてレースを終えてしまったMax RacingのNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GT。またしてもクルマは修復を要し、その後、鈴鹿戦に向けてのセットアップが始まりました。わずか3週間という短い期間での作業は極めてタフでありましたが、それでも限られた時間を最大限に使い、鈴鹿へ臨むこととなりました。

 夏の鈴鹿戦は、体制こそ少し異なりますが昨シーズンに優勝を飾った思い出あるレース。今シーズンはノーウエイトでの戦いが可能となるだけに、このチャンスを逃すわけにはいきません。まず、No.244 HACHI-ICHI GR Supra GTは予選で今シーズンのチームベストとなる2位を獲得。

 決勝では、がむしゃらに優勝を目指して力走を続けました。ところが2度目のルーティンワークを終えたばかりの44周目、130Rで突然タイヤにトラブルが発生し、ドライブしていた佐藤公哉は為す術もなくコースアウト、スポンジバリアに激突。大きなクラッシュでしたが、佐藤に怪我がなかったのは幸いでした。

 なお、このアクシデントは佐藤のドライビングミスではないものの、一方でトラブルに至った原因はまだ解析中です。鈴鹿戦で弾みをつけて、終盤戦へ! と意気込んでいただけに、この結末を受け止めるにはあまりにも辛いものがありますが、残り3戦でなんとしても手応えある戦いをして結果を残せるよう、引き続き頑張って参ります。

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 8月最後の週末となる27日、薄曇りの天気となった鈴鹿サーキット。気温30度、路面温度34度と、さほど暑さを感じない1日になりました。今大会は“真夏の決戦”になるイメージが強いせいか、少し拍子抜けする感じでもありました。まず、午前9時25分からの公式練習では、佐藤がNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GTに乗り込んで、車両チェックを始めます。

 佐藤は約30分間で9周を走り、三宅淳詞へと交代。三宅はアウトラップを終えるとアタックシミュレーションに入って2周目にこのセッションのチームベストタイムとなる1分59秒191をマークしました。その後は定期的にピットに戻り、GT500クラスとの混走終了までセッティングの微調整はじめ様々な確認を行いました。午前10時50分から10分間のGT300クラス専有走行が始まると、再び佐藤がコースへ。序盤とはまた異なるクルマのフィーリングを確かめるべく周回し、セッションを終えました。

 7番手のタイムを出して公式練習を終えたNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GT。上位ポジション獲得に向けて手応えある中で、午後からのノックアウト予選を迎えました。Q1・B組に出走したのは佐藤。午後3時38分からのセッションは気温31度、路面温度38度のコンディション。佐藤は各セクターで全体ベストタイムを刻む理想のアタックを披露します。そして1分57秒851という好タイムをマークし、見事トップでQ1通過を果たしました。

 続くQ2も似通った路気温で推移。三宅のアタックラップは1分56秒995。一旦トップに着けたのですが、その後、三宅のタイムを0.054秒上回るクルマが出現。結果、No.244 HACHI-ICHI GR Supra GTは予選2位を獲得。決勝は、フロントロウからスタートを切ることになりました。今回のアタックでは、佐藤、三宅とも他車よりも早いタイミングでの開始となったため、より高い集中力を要しましたが、二人揃って見事に仕事をやり遂げたと言えます。

 まずQ1突破を果たした佐藤。「早めのタイミングでのアタックは作戦としてうまくいきました。前回の鈴鹿ではQ1で4輪脱輪をしたので今回は絶対しないようにと心掛けました」と言います。「タイヤ、クルマとしてのパッケージが非常に良かったです。前回の富士のアクシデントからクルマを直してもらい、今この状態にあることに感謝しています」とチーム一丸で残した好結果に表情を緩めていました。

 また、Q2を担当した三宅は、「Q1の佐藤選手のアタック映像を見て、タイヤの温め方を考えました。ミスなくアタックをまとめることができたし、タイムも良かったのでポールポジションを獲れたと思ったのですが…….10号車が思った以上に速かったですね」と悔しさを見せました。「ただ、鈴鹿は去年優勝しているので、相性は絶対悪くないと思います。ミスなくチームの皆さんと力を合わせ、もう一度鈴鹿で優勝できるよう頑張りたいです」と早くも決勝を見据えていました。

 一方、「ウェイトも軽かったので、ポールポジションを獲りたかった」と田中哲也監督。とは言え、三宅の奮闘ぶりを評価していました。「レースでは、早めにポールの10号車を抜いてトップに立ちたい。タイヤがもてば、マージンも取れるので勝てるチャンスがある」と期待を寄せ、「作戦ではなく、ドライバーの速さ、力で勝てれば」とドライバーを鼓舞しました。

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)

 決勝を迎えた28日の日曜日も薄曇りの朝になりました。しかしながら、徐々に夏の強い日差しが戻り、決勝が始まる頃には青空が広がりました。それでも気温28度、路面温度39度、また湿度は50%と低く、カラッとした天気の中で77周の戦いが幕を開けました。

 前回に続き、今回も警察車両のパレードラップが行われ、三重県警の白バイとパトカーが先導してコースを1周、その後フォーメーションラップへと入りました。No.244 HACHI-ICHI GR Supra GTには三宅が乗り込み、スタートを担当。オープニングラップをポジションキープで終えると、徐々にクラストップの10号車との差を縮めていきます。そして9周目のダンロップコーナーで逆転に成功、その後はペース良く後続を引き離しにかかりました。

 今大会は、早めのタイミングでピットインする車両もあり、各チームともそれぞれ異なる戦略でのアプローチを見せる中、No.244 HACHI-ICHI GR Supra GTも23周終わりでピットイン。1回目のルーティンワークを行いました。本来ならばもう少し周回を重ねたかったのですが予定を早めることになり、その結果、奇しくもトップ3揃ってのピットインとなりました。ただし、このタイミングで再び10号車が先行することに。三宅に代わり、コースでは佐藤が周回を重ねていきましたが、ここで装着したタイヤはスタートタイヤと種類が異なるもので、しかもパフォーマンスを引き出すことがやや難しいものでもありました。

 実のところ、持ち込みタイヤのセット数の関係上、このスティントで履かざるを得ないタイヤだったのです。そんな“お家事情”を踏まえた上で、佐藤はタイヤのパフォーマンスをうまく引き出すための走りに尽力します。しかしながら、どうしてもマネージメントに特化するあまり、表彰台争い中の後続車両に逆転を許してしまいました。その矢先、チームは2度目のルーティンワークを決断します。

 最初のルーティンワークから20周後の43周終わりにピットイン。今度は佐藤がクルマに乗り込んだまま、タイヤ交換とガソリン補給のみが行われました。いわゆる“ダブルスティント”を佐藤が遂行することになりました。残すはチェッカーを目指してひたすら攻めの走りを続けるのみです。さらに、この時はスタート時と同じタイプのタイヤを装着したので、うまくタイヤマネージメントすることで、レース終盤にかけて三宅が見せたようなパフォーマンスの再現にも期待がかかりましたが…….。

 44周目、タイヤを温めながら走行する佐藤が130Rへ進入した途端、何の予兆もなく、突如姿勢が乱れてクルマがハーフスピン。さほど減速することもないままほぼ真正面からクラッシュパッドに衝突するというまさかの事態となりました。当然ながらクルマへのダメージは大きく、この時点でNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GTの戦いは“シャットダウン”を余儀なくされました。スピードに乗り始めた中で起こってしまったアクシデント。佐藤が大きなケガもなくクルマから降りたのが救いでした。

 今シーズンの中で、間違いなくベストパフォーマンスの戦いをしていたNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GT。その矢先、文字通り“足下をすくわれる”アクシデントに遭い、レースが終了。天を仰ぎたくなるような結末でしたが、この悔しさは終盤戦の3戦にぶつけてしっかりと戦うしかありません。何としてでも結果を残す…….これが今のNo.244 HACHI-ICHI GR Supra GTにおける大きな目標です。

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)

■田中哲也監督

「思いもよらないタイヤバーストとなりました。しかし、このアクシデントは(佐藤)公哉のせいではありません。何かしらの要因でタイヤにトラブルが起こってしまったようですが、その原因はこれからしっかりと解析してもらう必要があります。決勝では、思ったよりもペースラップが伸びませんでした。序盤に三宅(淳詞)が10号車を逆転してクラストップに立ちましたが、その後は決して容易な展開にはならないはずだと慎重な思いでレースを見守っていました。次のSUGOでもいい結果が残せるよう、しっかりと戦うだけです」

■佐藤公哉

「せめてもの救いは、アクシデントがアウトラップの周だったということでした。タイヤが温まり、全開スピードで走っていたら…….という感じでした。確かにまだ身体は痛いのですが、それよりも残念なのが結果を残せなかったということです。どこまでついていないのかと思うと…….」

「セカンドスティントでは装着したタイヤの特性上、タイヤをマネージメントする必要がありました。スタート直後から三宅選手が作ってきてくれたリードそしてポジションを守るためにも耐えながら走っていました。状況を見て、チームが2回目のピットインを決めてくれたのですが、コース復帰後はまずタイヤを持たせる走りを続け、うまく行けば必ず逆転のチャンスはあると思っていました」

「突然のことであり、また激突したことで断片的にしか覚えてないのですが、姿勢が乱れて制御不能になったことは覚えています。クラッシュの後、無線で申し訳ないと伝えたのですが、ピットに戻って映像を見る中で、三宅選手からも、パンクだと言われて…….。タイヤはパフォーマンス的に高かったと思うので、今後はこのようなことが起こらないように、と願っています。次回のSUGOは、タイヤ的にもそんなに楽なサーキットではないですが、引き続き頑張ります」

■三宅淳詞

「クラスポールポジションスタートの10号車は直線が速いので、正直オーバーテイクは難しいかなと思ったのですが、やはり序盤はかなり速くて。抜くのは難しいかなと思いましたが、予想以上に相手のタイヤが垂れてきてきつそうにしているのが後ろを走っていてよくわかりました。特にS字がかなりきつそうだったので、狙っていきました」

「うまく一発で仕留めることができたし、その後はペースも良くて。どんどん2位以降に差をつけて走れていたのですが、こういう残念な形になってしまいました。(佐藤)公哉選手のスティントの状況も、ある程度予想していたこともあり、さほど慌てることもなく様子を見ていましたが、2回目のピットストップを終えたアウトラップであの大きなクラッシュが起こってしまいました」

「今日はいい流れからチャンスも生まれ、優勝も狙える位置でずっとレースを進めてこれただけに、残念です。やはりレースは甘くないですね。次のSUGOですが、去年は100kgのサクセスウェイトを積んで戦う中、入賞圏内で走れていたので、今年は逆に(ノーウェイト)の軽さを活かして、予選から勝負をかけて上位を狙っていきたいと思います」

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 佐藤公哉/三宅淳詞(HACHI-ICHI GR Supra GT)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 佐藤公哉/三宅淳詞(HACHI-ICHI GR Supra GT)


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