レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

スーパーGT ニュース

投稿日: 2023.04.21 11:02
更新日: 2023.04.21 12:53

apr GR86 GT 2023スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーGT | apr GR86 GT 2023スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

2023 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE
開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.703km
4月15日(予選)天候:雨のち曇りコースコンディション:ウェット観客数:7800人
4月16日(決勝)天候:曇り一時雨コースコンディション:ドライ〜ウェット観客数:14500人

タイミングを逸してしまった予選。決勝で挽回し、10ポジションアップ!

 今年もスーパーGTは岡山国際サーキットから幕を開け、全8戦で争われる。レース界にも大きな影響を及ぼした新型コロナウイルスも、徐々に収束の兆しを見せ始め、イベント開催時の規制も緩和されたことから、サーキットは一時期のにぎわいを取り戻した。


 今年もaprは2台体制で臨み、トヨタGR86を30号車として走らせる。投入から2シーズン目となる『apr GR86 GT』は、ドライバーに永井宏明選手、織戸学選手、上村優太選手、小河諒選手の4名を登録。今回は織戸選手と上村選手のコンビで戦う。タイヤは信頼のヨコハマを使用する。

  昨年は第5戦・鈴鹿サーキットでの3位を筆頭に2戦の入賞、さらに7戦の完走によって、チームランキングでは2021年より、ひとつ順位を上げて17位に。2年連続でAシード権を獲得した。もちろん、今年はさらなる上昇を目標とする。

公式練習 4月15日(土)9:10〜10:45

 2023シーズンのスーパーGTは、ウエットコンディションからの走り出しとなった。開始からしばらく雨はやんでいたが、いつまた降り出すとも限らない。セミウエット状態のセットとタイヤの確認が織戸選手によって進められていった。

 計測3周目には1分40秒台に乗せ、次の周には1分40秒168が記された後、最初のピットストップが行われる。 少々誤算だったのは、ピットに留まっている間に雨はまた降り出し、しかもかなり強くなっていたことだ。

 再び走り出してフルウエット状態の確認もできたが、あまりの雨量によって、周回も危険な状況に。しばらくピットで待機の間に、GT500車両がモスSでクラッシュ。赤旗中断となったほど。

 開始から1時間経過したところで計測は再開されるも、雨の勢いは再び強まっていく。10分ほど経って、織戸選手は2周走ったものの、1分44秒台がやっととあっては、どんな状況か想像してもらえるはずだ。

 結果、本来チェッカーが出される時間より30分早く赤旗が出されて終了。まだ走れていない上村選手は、その後に実施されたFCY(フルコースイエロー)テストを走行するも、2分4秒台で走るに留まり、しかもFCYは最後まで出されなかった。

2023スーパーGT第1戦岡山 apr GR86 GT(織戸学/上村優太)
2023スーパーGT第1戦岡山 apr GR86 GT(織戸学/上村優太)

公式予選Q1 4月15日(土)14:23〜14:38

 予選も雨に見舞われ、しかも温度が低いことからタイヤの発熱も考慮され、各セッション計測は5分延長され、15分間となった。

『apr GR86 GT』はQ1をB組で臨んだが、A組は雨量増により、残り5分を待たずに赤旗終了となり、本領を発揮できずにQ1敗退となったチームも多々存在した。B組スタート時には、雨はかなり弱まっているが、同じような状況になってもおかしくはない。そこでQ1を担当した織戸選手は、早めにアタックを開始する。

 計測3周目に1分43秒984を記録して、その時点での7番手につけたが、A組とは対照的に路面状態は向上していただけに、まだ心許ないところ。次の周には1分43秒745にまで縮めるも、逆に9番手にダウン。その後、1分42秒646を出すも、まだ10番手。

 そこでラストアタックに賭けるべく、1周クールダウンを入れるも、これが裏目に出てしまう。そのラストアタックに入ろうとした、本当に数秒前にチェッカーが無情にも振られてしまったのだ!12番手に甘んじ、Q2進出はかなわずに終わった。

織戸学選手

「最後の1周が勝負だったのに、アタックする前に目の前でチェッカーでした。タイミングを完全に外してしまいました。ちょっと内圧も高過ぎてタイムの伸びしろも他より厳しかったです。路面が向上すればするほど内圧が上がりドロップは大きかったかな、 仕方ない。明日はコンディション変わるでしょうから、全力を尽くして入賞を目指し頑張ります」

上村優太選手

「僕が今日、走れたのはFCY(テスト)の時だけで、ジャジャ降りでハイドロが起きるぐらいだったので、あんまり走れなかったんですよ。とはいえ、合同テストや去年も乗っていますし、車には慣れていますので、決勝で頑張って追い上げたいと思います」

金曽裕人監督

「完全に残り時間とアタックのタイミングを逃してしまって、ギリギリ織戸選手のところで、チェッカーになってしまいました。15分間の予選時間に対してペース配分をもっと、こちらがコントロールしてあげれば良かった、というのが悔やまれます」

「クールダウンの前の周を2秒調整できていれば展開は大きく変わっていました。残り時間をしっかり教えてあげられなかったのは、我々のミスでもあります。でも、決勝はドライだと、なりに上に来るはずです、車はかなり仕上がっているから。ここからポイント獲得を、最低限の目標としています」

2023スーパーGT第1戦岡山 apr GR86 GT(織戸学/上村優太)
2023スーパーGT第1戦岡山 apr GR86 GT(織戸学/上村優太)

決勝レース(82周)4月16日(日)13:30〜

 決勝レースのスタート進行と同時に行われる、20分間のウォームアップは上村選手から走行を開始。スタート担当はすでに織戸選手と発表しているが、このレースウィークのマイレージが少ない上村選手の習熟に時間を割いたためだ。

 土曜日とは対照的に、上空には青空も広がって路面は完全にドライ。計測2周目にはさっそく1分30秒台に乗せた上村選手は、それから2周後に1分27秒 509をマークし、その時点でのトップに浮上。

 その後、乗り換えた織戸選手も1分27秒945を記し、 3番手につけドライ路面でのパフォーマンスの高さが伺える。 このまま天候が保たれたなら、23番手からのスタートながら、決勝での激しい追い上げが期待できそうだ。

 しかし、天気予報では雷も伴う降雨を告げており、予断は許されないところではあった。スタンドは満員で、グリッドウォークも大盛況。観客の声援に応える意味でも、変に水は差されたくない。ところが、スタートが近づくにつれ、暗雲が立ち込めるようになって……。

 まずは『apr GR86 GT』と織戸選手は、ポジションキープからレースを開始。バトルモードを保ったまま周回を重ねていく。しかし、5周を過ぎたあたりから、ついに件の雨が降り始める。それでも織戸選手のペースは悪くない。

 13周目には1台をパス。その直後に雨足が一気に強まったこと、そしてコースアウトした車両があったことから、『apr GR86 GT』はFCYが出されると見越し、ピットに戻ってウェットタイヤに交換する。

 案の定、FCYは出され、また直後にタイヤ脱落でストップした車両があったことから、1周でセーフティカー(SC)ランに切り替えられる。早めの判断が功を奏し、織戸選手は大きく順位を上げる。

 22周目にSCが離れた時には、ポイント圏内も見えてきた。24周目、25周目にオーバーテイクを重ね、さらに27周目にはドライビングスルーペナルティで順位を落とした車両もあって、ついに9番手にまで浮上した。

 その後、雨はやんでドライタイヤにいつ交換するか。『apr GR86 GT』が選んだのは38周目。併せて上村選手と交代する。この間に13番手に後退するも、天候さえそのままであれば、巻き返しは可能だったはず。

 ところが、コースアウトした車両があって、45周目から2回目のFCYが出されたば かりか、雨まで再び降ってきたからたまらない。その後、アクシデントも発生したことから、49周目からはSCランに切り替えられる。

 さらに51周目を経過したところで赤旗が。近隣で落雷があり、安全確保のためだった。その後、再開されるも、雨は一向に弱まる気配を見せず、SC先導のまま赤旗が出されること2回。最大延長時間を5分残し、最後は終了のアナウンスが。

 上村選手に挽回の機会は与えられず。規定周回の75%を満たしていたことから、フルポイントが与えられることとなったが、織戸選手と上村選手は13位とドライバーポイントを獲得できなかったから、むしろハーフポイントだった方が、 後々有利に働く可能性もあっただろう。

 次なる戦いは、富士スピードウェイを舞台にゴールデンウィーク真っ最中の5月3〜4日に開催される。第2戦で『apr GR86 GT』の巻き返しを期待したい。

織戸学選手

「いいところ、悪いところ、両方ありましたね。ピットのタイミングだとか。最初にウエット(タイヤ)にしたタイミングは良かったけれど、ウエット(タイヤ)からドライ(タイヤ)にしたタイミングが少し遅かった。でも、読めない天候の中、全員でベストは尽くせました。次戦はオフシーズンにも走り込んだ富士スピードウェイなので確実にポイント獲得できるように全力尽くします」

上村優太選手

「10ポジションアップですね、リザルトだけ見ると。織戸さんに前半、行っていただいて、僕とドライバーチェンジしてから赤旗が3回出て、SCも入って。ライバルがドライ(タイヤ)なのかウエット(タイヤ)なのか、分からなかった。 なので自分が今、何位なのか、どうゆう状況なのか理解するのに、いっぱいいっぱいでした。ただ、 一番は車を無事に返すことなので、クラッシュとか色々ありましたが、落ち着いて最後までチームと一緒に走れたと思います。次も頑張ります」

金曽裕人監督

「やっぱり予選のタイミングを逸したというのが一番。そこさえうまくいっていれば、パフォーマンスはあるわけだから、それが今後の課題です。ウォームアップでも速かったので、すごくもったいなかったですね。だから次は予選に対して進め方のみが課題だ と思っています。速さは十分あるし、幾度もあった混乱のピット作業でもカローラ三重メカニック2人はタイヤ交換もミスなくピットワークも良かったです。上村選手も久々のドライブでしたが、立派に走ってくれました。次戦は永井選手、織戸選手と小河選手の3人で走ってもらう予定なので楽しみです」

2023スーパーGT第1戦岡山 apr GR86 GT(織戸学/上村優太)
2023スーパーGT第1戦岡山 apr GR86 GT(織戸学/上村優太)


関連のニュース