Syntium LMcorsa GR Supra GTは2021年にGRスープラを導入すると、2022年にはフロントマスクを刷新。LM corsaの母体は大阪トヨペット(OTG)であり、ディーラーチームとして市販車の販売にもつながるようにと、フロントバンパー開口部の形状をベース車両のGRスープラに近いデザインとした。さらに、CFD(数値流体力学)によるシミュレーション解析によってフロントフェンダー周辺も改良。ドラッグを減らし、リヤウイングの効率を上げるべく、フロントフェンダー前方が張り出したデザインを採用した。しかし、2023年規定でそれが禁止になってしまった。

 新ルール対応のためのエアロチェンジにおいてもCFDを活用している。最初に風を受けるフロントフェンダー前方の張り出しがなくなったことで、L/D(エル・バイ・ディー)=揚力と空気抵抗の比)値は下がってしまったが、そこまで大きな差はないという。その対策としてフェンダー上面を高くし、ドラッグの低減とリヤウイングへと流れる空気の効率化を図った。その上面部分は分割式だったものを一体化することで、わずかではあるが軽量化も果たしている。

Syntium LMcorsa GR Supra GTのフロントバンパーとフェンダー
Syntium LMcorsa GR Supra GTのフロントバンパーとフェンダー

 フロントフェンダー後方とサイドステップは昨年を踏襲しつつ、フロントカウルを作り直したことでのバランス調整のために小変更。リヤフェンダー後方は、ほとんどのチームが「空力にはあまり影響しない」という見解だったが、凝ったデザインになっている。ボンネットダクトの左右端はリューターによる手仕上げになっているなど、仕上がりが美しいのもSyntium LMcorsa GR Supra GTの特徴だ。OTGではフロントバンパーのような大きなパーツもドライカーボンで成形できるオートクレーブを自社完備しており、だからこそ見た目にもこだわった大掛かりなチャレンジができたという。

 L/D値は昨年仕様よりも下がってしまったが、フロアも含めた見直しで空力バランスは良くなった。それにより、昨年は採用を見送っていた“足まわりのセット”を導入できたそうだ。空力も含めたそのセットは、鈴鹿サーキットやスポーツランドSUGOのようなコーナリングサーキットで本領を発揮する。第3戦鈴鹿では予選3番手、決勝7位だった。得意なサーキットが続く後半での巻き返しに注目したい。

Syntium LMcorsa GR Supra GT
Syntium LMcorsa GR Supra GT
Syntium LMcorsa GR Supra GT(リヤ)
Syntium LMcorsa GR Supra GT(リヤ)

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