更新日: 2023.08.09 21:25
ニッサン 2023スーパーGT第4戦富士 レースレポート
終盤に独走した#3 Niterra MOTUL Zが今季初優勝
GT300クラスは#11 GAINER TANAX GT-Rが優勝
SUPER GT 2023第4戦レースレポート
【GT500】
2023年スーパーGTシリーズ第4戦が8月5日、6日にかけて、富士スピードウェイで開催されました。日産/ニスモ陣営は、シリーズランキング2位の#3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)、3位の#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)、昨年チャンピオンの#1 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)、そして好調を持続する#24 リアライズコーポレーションADVAN Z (佐々木大樹/平手晃平)の4台のNissan Z GT500で、450km、100周の長丁場に挑みました。
#3 Zには58kgのサクセスウェイトが課され、50kgを超えたために実装41kgと燃料流量リストリクターが一段階絞られる措置が取られました。#23 Zは50kg、#1 Zは36kg、#24 Zは6kgのサクセスウェイトとなっています。
#24 Zが前戦の雪辱を果たし予選1番手を奪取
サクセスウェイト58kgの#3 Zが4位に
予選
予選日の8月5日、天候は日差しの強い快晴となり、気温33度、路面温度43度のコンディションのもと、15時53分から10分間のGT500クラス予選Q1が開始されました。
予選Q1を担当した#1 Zのバゲットはマシンの状態を確かめるように周回を重ね、5周目に1分29秒238のベストラップをマークしました。#23 Zは松田が担当し4周目に1分28秒842を出し、アタックを終えました。#3 Zは高星が3周目に1分28秒448の好タイムで上位に名を連ねます。
セッション終了間際にアタックを行った#24 Zの平手は1分27秒935で上位進出を果たしました。Q1では#24 Zが2番手、#3 Zが6番手でQ2進出を果たし、#23 Zは13番手、#1 Zは14番手で予選を終えました。
16時31分から上位8台による予選Q2が開始されました。#3 Zの千代が1分28秒114とQ1タイムを更新し4番手となりました。#24 Zの佐々木は4周目に1分27秒763のトップタイムをマーク。
前戦鈴鹿ではトップタイムながらペナルティでタイム抹消となった雪辱を果たし、予選1番手を獲得しました。
ウエットで速さを見せた#3 Zが独走で優勝し
シリーズランキング首位を奪取
決勝
8月6日、小雨模様でコースはフルウエットコンディションという状況のもと、13時45分にセーフティカー(SC)先導でレースがスタートしました。
フォーメーションラップは行われず、2周にわたるSC先導の後、レースが始まりました。ウエットでペースの良い#3 Zは、3周目に上位2台を次々にオーバーテイクし2番手に上昇。4周目にはポールポジションからスタートした#24 Zをパスしてトップに立ちました。
13番手スタートの#23 Zは5周を終えて、前戦でのアクシデントによりモノコックの交換を行ったペナルティを消化するためにピットストップを行い、クラス最後尾にポジションを下げました。
14番手からスタートした#1 Zは、バゲットが4台をパスし10番手に浮上しています。
10周を経過する頃、雨は上がり路面コンディションは急速に回復します。11周を終えて#24 Zが、12周を終えて#1 Zが、15周を終えて#3 Zが、16周を終えて#23 Zがピットインしスリックタイヤに替えました。
ほぼ全車が同じタイミングでタイヤ交換を行い、ピットは大混乱します。GT500クラスは17周終了時点で全車がタイヤ交換を終え、#3 Zが4番手、#1 Zが5番手、#24 Zが12番手、#23 Zが15番手となっています。
35周目にGT300マシンが火災でストップしSCが導入されました。これにより各車の差はなくなり、41周目からのリスタートともに激しいポジション争いが展開されることに。
46周目、47周目とトップを走るマシンが続けてピットインし、#3 Zは2番手に、#1 Zは3番手に、#24 Zは8番手に浮上。レースは折り返し点を越えると、ペースが落ちて5番手までポジションを落とした#1 Zが54周を終えてピットインし、ドライバーをバゲットから平峰に交代します。
56周を終えたところで#3 Zと#24 Zがピットインし、ともにドライバーを交代しました。高星に代わった#3 Zは8番手でレースに戻り、GT500クラスが2回目のピットインを終えた段階で4番手となります。
65周目、GT300クラスのマシンに火災が起き、コースサイドにストップ。火の勢いが強く、レースは67周終了時点で赤旗中断となりました。この時点での順位は、#3 Zは4番手、#24 Zは9番手、#1 Zは11番手、#23 Zは15番手となっています。
火災を起こしたマシンの回収とバリア等の修復に時間を要し、レースは40分以上の中断となりました。その間に天候が悪化し、ところにより激しい雨に見舞われます。
コースは完全なウエットコンディションとなったためにタイヤ交換が可能となり、全車レインタイヤに交換を行いました。4周にわたるSCによる先導走行を経て、レースが再開。
ウエットで抜群の速さを見せる#3 Zの高星は、再開直後の72周目のダンロップコーナーでオーバーテイクを決めて3番手となると、74周目の100Rで2番手に上がり、最終コーナーでトップに並び、75周目の第1コーナーでトップに立ちました。
その後、徐々に回復するコンディションのもとで、タイヤの状態によりペースが大きくかわる難しい終盤戦となりましたが、圧倒的な速さを見せた#3 Zの高星は毎周後続に2秒以上の差を広げて首位を独走。100周のチェッカーフラッグを、2位に大差をつけて受け、今季初優勝を果たしました。
ウエットタイヤの摩耗とマッチングに苦しんだ#24 Zは10位入賞。#23 Zは13位、#1 Zは15位で完走を果たしました。#3 Zは今回の優勝によりシリーズランキングでトップに立ちました。日産/ニスモ陣営の目標であるチャンピオン連覇に向けて、シリーズ後半戦の幕開けとなる第5戦鈴鹿は重要な一戦となります。
千代勝正 選手
「前戦からの2カ月、チームのみんなもしっかり準備してくれました。予選からパフォーマンスを出せたのもそのおかげだと思います。序盤でリードを築くことができましたが、路面が乾くスピードが予想以上に速く、スリックタイヤに変更するタイミングが少し遅れてしまいましたが、後半の高星選手も素晴らしい走りをしてくれました」
「チームの底力とミシュランタイヤのパフォーマンスを証明できました。次戦の鈴鹿も雨ごいしたいくらいミシュランタイヤは頼もしいですし、チームの雰囲気もとてもいいので、いい仕事をして、最後に笑えるようにしたいと思います」
高星明誠 選手
「優勝という結果は率直にうれしいです。千代選手が長く走ってくれて、いいポジションでつないでくれました。ドライとウエットで3号車のパフォーマンスも見せることができ、強く戦うことができたレースだったと思います」
「赤旗中断でタイヤ交換ができることになった際、どのタイヤを使うかの判断は難しかったのですが、千代選手がコースまで状況を見に行って、タイヤの選択についてアドバイスをくれたおかげで、コンディションに合わせたタイヤを装着することができました。チャンピオンを獲れるように、次戦以降も1点でも2点でも積み重ねられるように取り組みたいと思います」
【GT300】
GT300クラスには5台のニッサンGT-RニスモGT3が参戦。予選3番手の#11 GAINER TANAX GT-R(富田 竜一郎/石川 京侍/塩津 佑介)が、雨で変わりやすい路面状況や赤旗導入など荒れたレースに見事な対応力を見せ、今季初優勝を達成しました。
#56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取 鉄平)が4位、#10 PONOS GAINER GT-R(安田 裕信/大草 りき)が7位に入賞、残る2台のGT-Rも完走を果たしました。